2008 Fiscal Year Annual Research Report
P-糖タンパク機能制御の解明を目指した細胞内局在制御因子の探索
Project/Area Number |
20890212
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
叶 隆 Takasaki University of Health and Welfare, 薬学部, 助手 (70509257)
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Keywords | P-糖タンパク / 調節因子 / ERMタンパク / 癌多剤耐性 |
Research Abstract |
一般的にDNAはmRNAに転写された後、タンパクに翻訳され、さらにそのタンパクは様々な翻訳後修飾などを受けその機能を発揮する。Ezrin、radixin及びmoesin(ERMタンパク)は細胞質において様々なタンパクと相互作用し、ABCトランスポーターに属するP-糖タンパク(P-gp)とも結合することが知られている。我々は、ERMタンパクはアクチンとも結合することから、これらのタンパクはP-gpが膜上に安定発現するための足場タンパクとして作用するものと考えた。そこで20年度では、ERMタンパクがP-gpの活性に与える影響について、ヒト肝細胞由来HepG2細胞を用いて検討した。まず、HepG2細胞にERMタンパクが発現していることをウエスタンブロッティング法及びRT-PCR法で確認し、ついでP-gpの基質であるローダミン123を用いて取り込みとその測定系を確立した。また、ローダミン123の細胞内取り込みがP-gpの基質であるverapamil及びcyclosporineAで有意に増加することから、ローダミン123の排出にP-gpが主に関わっていることを確認した。さらにRNAi法を用いてezrin、radixin及びmoesinまたはこれらのタンパクを組み合わせてノックダウンしたところ、radixinをノックダウンした場合にP-gp自体をノックダウンした場合より弱いが、有意なP-gpの阻害が確認され、radixinがP-gp機能発現に重要な役割を持つことが示唆された。今後さらにRNAiによる検討を行い、vivoを含めた検討まで進める予定である。ERMタンパクはP-gpのみならず薬剤耐性に関与する他のトランスポーターとも相互作用する可能性があり、ERMタンパクによるトランスポーター機能制御のメカニズムを解明することは、これらのトランスポーターの基質となる医薬品の吸収率抑制の回避のみならず、癌多剤耐性を回避するための効果的な手段の発見に寄与するものと考えられる。
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