2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管の新生パターンは腫瘍の悪性度と相関するか?:消化器系腫瘍をモデルに
Project/Area Number |
20890231
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
北原 秀治 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (40510235)
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Keywords | 腫瘍血管 / 血管新生 / 腺腫 / 腺癌 / 悪性化 / APC^<Min / +>マウス / 微小環境 / 微小循環 |
Research Abstract |
本研究は消化器系腫瘍、とくに腺癌(悪性腫瘍)とその前癌状態とも言うべき腺腫(良性腫瘍)又は過形成との異同を、増殖の鍵を握る腫瘍血管の特徴を明らかにする事によって、抗腫瘍血管療法(抗癌剤治療)をはじめとする治療への応用や、腫瘍の転移のメカニズムとその制御を解明することが目的である。 消化器系腫瘍を自然発症するAPC^<Min/+>マウスを用い高脂肪食、硫酸デキストランナトリウムを種々の期間摂取させ、経時的にFITC-トマトレクチンを静注して血管を標識後、灌流固定を行った。さらに組織凍結切片上で、各種マーカーによる蛍光免疫染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。また、電子顕微鏡による超微形態学的観察も加えて行った。またヒト組織を用いても解析した。 良性腫瘍における新生血管は、形態的には悪性腫瘍における腫瘍血管に類似しているものの、正常血管、悪性腫瘍血管との間でレクチンなどの染色パターンの違いが確認できた。また、悪性化とともに、血管は増殖、拡張し、基底膜の変化や、内皮細胞の脂肪の貪食、血管内腔表面に微絨毛様の突起が出現するなど形態的変化が認められる事を解明した。 以上の結果から、腫瘍はその周囲の微小環境の変化に応じて、その新生パターンを様々に変化させることが解った。つまり腫瘍細胞が良性から悪性へと転化する段階において、その環境変化に応じて、血管も良性から悪性へと変化していくと思われる。また、今回の研究で、腫瘍血管は良性の段階からすでに悪性に類似していることが確認できた。ヒト病理組織の結果と会わせて。今後の臨床治療において非常に役立つ結果が得られた。
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