2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890235
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯島 洋 Tokyo Union Theological Seminary, 薬学部, 教授 (30465281)
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Keywords | カテコールアミン / メチルTランスフェラーゼ / COMT / 活性化 / 腎臓 / 心血管系障害 / 代謝 |
Research Abstract |
ヒトCOMTをグルタチオンS-転位酵素(GST)の融合タンパク質としてCOMT(可溶型S-COMT)を発現させた。培養1mLあたり6μgのCOMTを得た。組換えCOMTの酵素学的パラメーターはノルアドレナリン(NE)に対するKm:160μM,S-アデノシルメチオニン(SAMe)に対するKm:70-170μMであった。阻害剤である3,5-ジニトロカテコールのKi値:2nM,IC50値:30-60nMであった。組換えS-COMTはヒト赤血球や肝臓のS-COMTと同等性を有するものと判断できた。 酵素反応アッセイはCOMT反応生成物であるメタネフリン(NMN)をイオン交換-イオン対逆相HPLCで分離し、電気酸化後にエチレンジアミンと反応させ生じるキノキザリンを蛍光により定量した。COMTに関しては既知の活性化物質は知られていないため、活性化物質を検出する条件も未知であった。実際に小規模の化合物のスクリーンングを、NE濃度とSAMe濃度を変化させて実施した。被検化合物(濃度1-10μM)が共存する場合と化合物の無い場合でのNMN生成量を比較して活性化を調べた。二個の化合物に10%程度の生成物増加を認めた。この化合物を利用して、さらに活性化を検出しやすくする条件を調べたところ、SAMeの濃度をKm程度(100μM)に下げることが有効であった。NEの濃度には依存性は小さかった。このことから、活性化物質はSAMeまたはSAHとCOMTの結合あるいは解離に影響を与えている可能性が示唆された。COMTの代謝回転数は数回/秒と小さいが、その理由がCOMTの反応機構(ping-pong Bi-Bi機構:SAMe in-NE in-NMN out-SAH out)におけるSAH(S-アデノシルホモシステイン)が酵素に対して持つ強い親和性によることとよく対応すると考えられる。
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