2009 Fiscal Year Annual Research Report
側坐核のノルアドレナリンおよびドパミン遊離制御機構
Project/Area Number |
20890236
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青野 悠里 Nihon University, 歯学部, ポストドクター (50508497)
|
Keywords | ドパミン / 線条体 / ラット / 脳微小透析法 / 薬理学 |
Research Abstract |
シナプス小胞内ドパミン(DA)枯渇薬のreserpineとDA合成律速酵素阻害薬のα-methyl-p-tyrosine(α-MPT)を用いた研究から,覚醒アミンのdexamphetamineは線条体のDA神経終末のシナプス小胞のみならず細胞質を由来とするDAを細胞外へ遊離することが示されている。D_1受容体agonistのSKF38393は,ラットの線条体背側部に局所投与するとdexamphetamine様の神経活動非依存性の機構を介し同部位の細胞外DA遊離を促進するが,このDAはシナプス小胞と細胞質のいずれを由来とするのかは明らかでない。そこで,無麻酔非拘束ラットの線条体背側部へのSKF38393の局所投与が誘発したDA遊離におけるシナプス小胞と細胞質のDAプールの役割について,reserpineとα-MPTを用いてin vivo脳微小透析法により検討した。その結果, 1.線条体背側部へのSKF38393の局所注入(1.5μg/0.5μl)が誘発した同部位のDA遊離は,reserpine(5mg/kg,24時間前)またはα-MPT(250mg/kg,2時間前)の全身投与の結果,reserpineにより約82%が,α-MPTにより約62%がそれぞれ抑制され,これら薬物の前処置による抑制効果の合計は約144%に達した。 2.細胞内DAを枯渇させるためreserpineとα-MPTを併用投与しても,SKF38393誘発DA放出はおよそ86%までしか抑制できなかった。 以上の結果から,ラットの線条体背側部へのSKF38393の局所投与が誘発したDA遊離は,同部位のシナプス小胞と細胞質の両方を由来とすることが示された。また,このSKF38393処置は,細胞内DAのシナプス小胞と細胞質の間の移行を惹起すること,さらに細胞外DAの細胞内への取込みを抑制することがそれぞれ示唆された。
|