2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯髄培養細胞におけるプラスミンと炎症性サイトカインの相互作用
Project/Area Number |
20890237
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
神尾 直人 Nihon University, 松戸歯学部, 助手(専任扱) (10508774)
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Keywords | 歯学 / 細胞・組織 / 炎症 / プラスミン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究は、ヒト歯髄培養細胞におけるプラスミンによるプロスタグランジン(PG)E_2産生機構を解明することで、歯髄炎の進行における歯髄細胞の機能的な特徴の一部を明らかにすること目的とした。PGE_2合成酵素であるシクロオキシゲナーゼー2(COX-2)のmRNA発現、タンパク質発現の検索、および培養上清中に遊離されたPGE_2量の測定を行った。COX-2 mRNA発現は、RT-PCR法にて検討した。全RNAを抽出後、Onestep RT-PCR kitにてcDNA合成、増幅を行った結果、プラスミン作用後30分から1時間でCOX-2 mRNA発現は増強し、以後経時的に減少した。COX-2タンパク質発現は、ウェスタンブロット法にてAnti COX-2 mnoclonal antibodyを用いて行った。その結果、プラスミン作用後1時間で細胞内COX-2タンパク質発現は最大になり、以後減少した。培養上清中のPGE_2量は、プラスミン作用後時間依存的に上昇し、1時間で最大になった。プラスミンによる細胞内シグナル伝達は不明な点が多く、申請者は歯髄において細胞膜上のprotease activated receptor-1(PAR-1)を介していることを報告してきた。上記の結果はPAR-1活性化ペプチドであるSFLLRNでも同様の結果を得ており、さらにPAR-1阻害剤存在下では、その効果は抑制された。今回の結果から、ヒト歯髄培養細胞においてプラスミンはPAR-1を介してCOX-2 mRNA発現、タンパク質合成、さらにはPGE_2分泌に関与していることが示唆された。よって、プラスミンは歯髄における炎症の進行機序において、細胞外基質の消化だけでなく、炎症性サイトカインと同様に直接的に細胞にシグナルを伝え起炎物質の分泌に関与していることが示唆された。
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