2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890241
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
諸熊 正和 Tsurumi University, 歯学部, 学部助手 (10514474)
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Keywords | 歯学 / 脳・神経 / 臨床 / 痴呆 |
Research Abstract |
本研究系の目的は、義歯治療によって変化する数々の因子と脳機能の活性度との相関を分析することにより、どのような義歯治療が脳機能を改善するのか解明し、歯科補綴が健康や福祉に大きく関わることを示すことである。平成21年度の研究目的は、全部床義歯治療による咬合力の向上が脳機能に及ぼす影響を検討し、義歯治療による咬合力の向上が脳機能の活性化因子に含まれるか否かを解明するである。本研究では、鶴見大学歯学部附属病院補綴科を受診し、補綴専門医により義歯の咬合もしくは粘膜面に問題があると診断を受け、義歯治療を受けている上下顎全部床義歯装着者24名を被験者とした。すべての被験者に対して、デンタルプレスケールオクルーザーによる義歯治療前後の咬合力(N)の評価および、脳波データをDIMENSION分析し義歯治療前後の脳機能(Dα)の評価を行った。治療前後の比較はWilcoxon順位和検定にて評価し、咬合力と脳機能との相関はSpearmanの順位相関係数の検定にて評価した。その結果、義歯治療前と比較して義歯治療後の咬合力(N)および脳機能(Dα)は有意(p<0.05)に増加すること、咬合力が増加するに伴いDαも上昇し咬合力と脳機能の間に有意な正の相関関係が認められること(r=0.473,p<0.05)を明らかにした。本研究によって、義歯治療に伴う咬合力の向上と脳機能の活性化との間に正の相関が認められることから、咬合力は義歯が関与する脳機能の活性化因子の一つであることが解明された。従って、患者本来の咬合力が十分発揮され、強く咬むことができるように全部床義歯を調整することが脳機能を改善し、全身の健康やQOL向上などに寄与するという科学的根拠が示された。これらの結果を論文および学会にて発表した。さらに、論文発表2件、学会発表2件を予定している。
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