2009 Fiscal Year Annual Research Report
テーラーメイド治療を指向した抗真菌薬の血中濃度簡易測定法の開発と遺伝子多型解析
Project/Area Number |
20890244
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
下枝 貞彦 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 准教授 (40515087)
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Keywords | カラムスイッチングHPLC法 / テーラーメイド治療 / 抗真菌薬 / サイクリングプローブ法 / 遺伝子変異 / Poor Metabolizer / 口腔粘膜細胞 / 毛髪 |
Research Abstract |
一般に血中薬物濃度を測定する際には、除タンパクなどの前処理が必要であるが、カラムスイッチング法を用いると煩雑な前処理が不要で迅速かつ簡便に測定できる。そこで、ミカファンギンのカラムスイッチング法を用いる血漿中濃度定量法を開発した。前処理カラムに内面逆相系のShim-pack MAYI-ODSを用い、測定後0.5分で前処理カラムから血漿中のタンパクが約97%排出され、目的薬物がトラップされた。バルブを切り替えてバックフラッシュモードにすると、1分で目的薬物が前処理カラムから溶出され、分析カラムでの分離を可能とした。さらに分析カラムで分離中、移動相に酢酸アンモニウムを用いることで前処理カラム内をオンラインで十分に洗浄し、除タンパクが可能であった。このように、迅速かつ簡便でカラム耐久性にも優れたカラムスイッチング法は、臨床現場で有用な分析法であると思われる。一方、ボリコナゾールの主な代謝酵素である薬物代謝酵素CYP2C19には、遺伝子変異が認められている。変異による代謝活性が欠損または著しく低いPoor Metabolizer(PM)の割合は、約20%と報告されている。PM患者は薬物の代謝能が低いため、血中濃度の上昇につながり、ボリコナゾール投与の際に注意が必要となる。本研究では非侵襲的な試料である口腔粘膜細胞および毛髪を用いて、サイクリングプローブによるCYP2C19の一塩基多型(SNPs)測定法の開発を行った。変異部位をRNAに変換したサイクリングプローブを用いてリアルタイムPolymerase Chain Reaction(PCR)を行った。さらに末梢血DNAにっいても同様に検討を行い、口腔粘膜細胞および毛髪と比較した。CYP2C19*3のSNP部位を測定したところ、ボランティアの口腔粘膜細胞、毛髪および末梢血はすべて同一の結果が得られた。7名のボランティアのうち、2名がホモ型のwildタイプ、5名がヘテロ型であった。さらに、既知のTaqManプローブ法と比較したところ、同様の結果をえた。末梢血の採取は患者の苦痛を伴うが、口腔粘膜細胞および毛髪を用いることで非侵襲的に試料を採取でき、サイクリングプローブを用いるSNPs解析ができることを認めた。
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Research Products
(4 results)