2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890249
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
近藤 久貴 Aichi Gakuin University, 歯学部, 助教 (40469002)
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Keywords | 破骨細胞 / 活性酸素種 |
Research Abstract |
本年度の研究の成果は大きく分けて二つ。一つ目の成果は、前年度のin vitroの実験系から得られた結果をin vivoで確認したことである。すなわちβアドレナリン作動薬がROSを介して破骨細胞分化を制御するか否かin vivoで検討を行った。この実験ではC57BL/6Jマウスに2週間の抗酸化剤αリポ酸の投与、非投与において、βアドレナリン作動薬投与による骨量の減少にどのような変化が見られるか検討を行った。結果はβアドレナリン作動薬投与により脛骨海面骨の骨量が低下し、さらに組織学的検討により、イソプレナリン投与により破骨細胞数(Oc.N/BS)、破骨細胞面積(Oc.S/BS)の増加をもたらした。一方、カルセイン2重ラベルによる動的組織形態学的計測ではイソプレナリン投与が骨形成の動的パラメーターを減少させることが明らかとなった。さらにイソプレナリン投与は、骨における参加ストレスの指標である過酸化脂質の量を増加させた。さらに抗酸化作用のあるαリポ酸の投与によりイソプロテレノール投与による破骨細胞形成の増加が抑制され、イソプロテレノール投与による骨量の減少も認められなかった。以上の結果からβ作動薬が破骨細胞でROSの産生を増加させることによりin vivoで破骨細胞形成を促進させる可能性が示唆された。 二つ目の成果は、βアドレナリン作動薬がROSを介して破骨細胞分化を制御する際、ROS感受性のシグナル伝達物質であるASK1が関与する可能性を示唆したことである。ASK1欠損動物ではβ作動薬による破骨細胞形成が抑制される傾向が認められた。 骨粗鬆症に対する完全な治療薬は未だ確立されておらず、本研究で示された抗酸化作用のあるαリポ酸が破骨細胞に直接作用し、骨減少症の治療薬としての可能性が示唆されたことは極めて重要であり意義がある。
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