2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬力学的解析を用いたテーラーメイド免疫抑制療法の確立
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20890250
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
倉田 洋子 Kinjo Gakuin University, 薬学部, 助教 (80513928)
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Keywords | テーラーメイド / 免疫抑制薬 / 薬力学的解析 / フローサイトメトリー / サイトメガロウイルス / 水痘・帯状疱疹ウイルス / CFSE / Tリンパ球 |
Research Abstract |
今年度は、実際に生体腎移植手術施行予定の患者血液を用いて検討を進めた。患者の採血は名古屋第二赤十字病院移植外科にて移植手術を施行予定である患者のうち、説明文書にて同意が得られた患者のみ行った。患者32名(男性:23名、女性:9名)から末梢血20mLを採取し、CFSE(invitrogen)により染色した。96穴プレートにCFSE染色リンパ球細胞100μL、免疫抑制薬含有液50μLおよび刺激薬phytohemagglutinin (PHA ; Sigma ; 1.25μg/ml)50μLを加え、37℃にて72時間培養後、FCMによりTリンパ球数の測定を行った。その結果は以下であった。生体腎移植手術予定患者において、各免疫抑制薬は濃度依存的にTリンパ球の増殖を抑制した。得られたシグモイド曲線は、CSA、TACおよびPRDにおいて、患者間で個人差が認められたが、MPAにおいては、全ての患者においてほぼ類似していた。つまり、CSA、TACおよびPRDの抑制効果には大きな個人差があるが、MPAの効果の個人差は小さいことが明らかとなった。次に、移植後3ヶ月までの導入期におけるサイトメガロウイルス(cytomegalovirus ; CMV)と水痘・帯状ヘルペスウイルス(varicella zoster virus ; VZV)感染と最大抑制率との関連性を検討した。CSAにおいては最大抑制率が25%以下のCSA高感受性患者8名中5名にCMV・VZV感染が認められたが、一方でCSA低感受性患者患者(最大増殖率が25%以上)においては8名中1名が感染しただけであった。以上の結果より、本CFSE-FCM法では、個々の患者の免疫抑制薬に対する効果の個人差を測定することが可能であり、免疫抑制薬の薬剤選択および投与量の決定および導入期の感染症発症の予測に利用できる可能性が示唆された。
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