2009 Fiscal Year Annual Research Report
赤白血病モデル細胞の分化および腫瘍化におけるスフィンゴシンキナーゼ1発現の関与
Project/Area Number |
20890251
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
祖父江 沙矢加 Chubu University, 生命健康科学部, 助手 (50513347)
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Keywords | SPHK1 / 赤白血病 / 分子標的療法 |
Research Abstract |
本研究では,その発現が腫瘍化と密接に関わっており診断や治療への応用が期待されているスフィンゴシンキナーゼ1(SPHK1)の発現調節機序の解明を目指している。SPHK1発現が細胞の分化に一定の役割を担っていることから,分化誘導療法のモデルである赤白血病に焦点を絞り,SPHK1を標的とした臨床診断技術の確立および白血病の新規分子標的療法開発の可能性を検討した。検討した具体的内容については以下のとおりである。なお,本研究結果は第72回日本血液学会で発表予定である。 【赤白血病分化誘導モデルとしてのマウスフレンド細胞におけるSPHK1の関与】 (1)フレンド細胞野生株と耐性株におけるSPHK1転写活性の測定 分化誘導後の分化誘導抵抗性株におけるSPHK1発現量が野生株に比べてタンパクレベル,mRNAレベルで上昇していることを確認した。さらに転写活性を測定したところ,分化誘導抵抗性株でSPHK1の転写活性が野生株に比べて増強していることを確認し,さらに転写活性の増強がMybなどの転写因子によることと,その転写が行われているのはわずか50bpほどの最小領域であることを特定した。 (2)転写を活性化している転写因子の特定 データベース検索により結合が予想される転写因子を検索し,その中からMyb,Fli-1,PU.1がフレンド細胞野生株と耐性株におけるSPHK1転写活性の調節に関与していることが確認できた。野生株と耐性株を分化誘導剤で処理したときにこれら転写因子の発現量をタンパクレベルで確認したところ,予想に反して野生株ほどではないが耐性株でも発現量の減少が見られた。しかし,分化誘導剤で処理後に再び分化誘導剤を除去して通常培養状態に戻したときに野生株では発現量が低下したままであるのに対し,耐性株では発現量が回復することが確認できた。
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