2009 Fiscal Year Annual Research Report
ガスメッセンジャー硫化水素のシクロフォスファミド誘起膀胱炎および膀胱痛への関与
Project/Area Number |
20890262
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松波 真帆 Kinki University, 薬学部, 助手 (90510123)
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Keywords | 膀胱炎 / 内因性ガス / 硫化水素 / 痛み / 膀胱痛 / 神経因性炎症 / 一次知覚神経 / T型Ca^<2+>チャネル |
Research Abstract |
内因性ガスメッセンジャーである硫化水素の膀胱炎および膀胱痛への関与を明らかにするため、昨年に引き続き平成21年度は、シクロホスファミド誘起膀胱炎モデルにおける炎症症状および痛みに対する各種阻害薬の効果を検討し、発現メカニズムの解析を行った。 1)シクロホスファミド誘起膀胱炎における一次知覚神経の関与の検討:本モデルにおいて、カプサイシンの大量投与により一次知覚神経C線維を除神経することで膀胱痛が抑制され、炎症症状も部分的に抑制されたことより本モデルの病態に神経因性炎症のメカニズムが関与していることを明らかにした。 2)シクロホスファミド誘起膀胱炎における炎症症状へのT型Ca^<2+>チャネルの関与の検討:昨年度、硫化水素の標的分子として知られるT型Ca^<2+>チャネルの阻害薬であるmibefradilが膀胱炎発症後の処置により膀胱痛を抑制するとの知見を得ているが、本年度は、膀胱炎発症前に処置を行うことで炎症症状を抑制し、さらに前処置に加えて後処置も行うことにより炎症症状および膀胱痛をも抑制することを見出した。 昨年度、本モデルマウスの膀胱組織中で硫化水素合成酵素が発現誘導されることを確認していることから、一次知覚神経を介した初期の炎症が引き金となり、硫化水素合成酵素が発現誘導されることで膀胱組織内において硫化水素の産生が増大し、これがT型Ca^<2+>チャネルを介して膀胱痛を誘起する一方、炎症症状を悪化させている可能性が示唆され、本モデルの病態の発現メカニズムを解明するための重要な知見を得ることができた。
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Research Products
(4 results)