2009 Fiscal Year Annual Research Report
IL-18を介したミクログリア-アストロサイト相互作用と神経因性疼痛
Project/Area Number |
20890265
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
三好 歓 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (30454755)
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Keywords | IL-18 / spinal cord / microglia / IL-18R / glial interaction / astrocytes / neuropathic pain / TLR4 |
Research Abstract |
近年、脊髄グリア細胞が炎症性サイトカインを遊離することで、難治性疼痛の発症や維持に重要な役割を果たすことが示唆されている。この炎症性サイトカインであるIL-1ファミリーのなかでも、IL-1βが疼痛発現に重要であることが数多く報告されてきた。しかしながら、同様にIL-1ファミリーの新規サイトカインであるIL-18の疼痛との関連はほとんど報告されていない。本研究では、このIL-18に着目し、疼痛時におけるIL-18の発現動態さらには疼痛関連シグナルにおける役割について解明することを目的として研究を行った。その結果、末梢神経障害モデル動物において脊髄におけるIL-18の著明な発現増強が引き起こされ、疼痛発現機構に関与していることを明らかにした。その詳細な結果としては、脊髄マイクログリアにおいて神経障害後3日目をピークとしたIL-18の発現増強が確認され、IL-18に対する中和抗体を髄腔内に持続的に処置することによって疼痛発現が抑制され、さらには脊髄アストロサイトの活性化も抑制された。一方、IL-18リコンビナントプロテインを髄腔内に処置する事によって持続的な痛覚過敏状態が確認され、さらに脊髄アストロサイトの活性化が確認された。これらのことから、神経障害時においては脊髄マイクログリアにおいてIL-18の発現増強が引き起こされ、脊髄グリア細胞間における相互作用を引き起こすことで痛覚過敏を引き起こしていることを明らかにした。さらに、IL-18の内因性捕捉タンパク質であるIL-18 binding protein(IL-18bp)を髄腔内に持続的に処置することによって、痛覚過敏の抑制効果が認められた。このことは、IL-18bpの治療薬としての可能性を示唆したものであると考えられる。以上のデータはJournal of Neuroscienceにて発表した。
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Research Products
(5 results)