2008 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルを利用したES細胞からドーパミン産生神経の誘導法の開発
Project/Area Number |
20890282
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Research Institution | Tazuke Kofukai Medical Research Institute |
Principal Investigator |
林 英樹 Tazuke Kofukai Medical Research Institute, 医学研究所第6研究部, 研究員 (70510642)
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Keywords | 移植・再生医療 / 脳神経疾患 / トランスレーショナルリサーチ / バイオテクノロジー / 発生・分化 |
Research Abstract |
マウス細胞であるPA6細胞と共培養することでマウスおよびヒトES細胞からドーパミン産生神経が誘導されることが知られているが、その誘導因子は依然同定されていない。まず、PA6細胞の分泌因子がどの分化段階で働くかを調べるため、マトリゲルを基質としてPA6のConditioned mediumを添加してマウスES細胞を培養し、免疫染色およびreal time PCRを用いて検討した。その結果、分泌因子は神経幹細胞の誘導、中脳神経への誘導に働いているが、腹側中脳神経への誘導はむしろ抑制していた。分泌因子のうち、Wntシグナルに関与する因子をスクリーニングしたところ、WntとsFRPの発現をRT-PCRおよびウェスタンブロットで同定した。さらにそのリコンビナント蛋白を分化誘導中のES細胞培養培地に添加し、それぞれの分化ステージにおける影響を免疫染色およびreal time RT-PCRにより検討した結果、未分化ES細胞が神経幹細胞に誘導されることが判明した。また、神経幹細胞に誘導されると蛍光発色するSoxl-GFP knock-in mouse ES細胞をFACSで解析することにより、WntおよびsFRPともに神経誘導に作用することが分かった。また、RNA干渉によりConditioned medium中のWnt関連蛋白をknock-downすると神経誘導作用は低下し、リコンビナント蛋白を加えることにより作用が回復することが分かった。これまで不明であった神経誘導因子を同定したことにより、マウス細胞であるPA6細胞を使用しないchemically defined mediumでヒトES細胞から神経誘導を効率よく行う方法を開発できる可能性が生まれた。今後、機序の解明を引き続き行う。
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Research Products
(1 results)