2009 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルを利用したES細胞からドーパミン産生神経の誘導法の開発
Project/Area Number |
20890282
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Research Institution | Tazuke Kofukai Medical Research Institute |
Principal Investigator |
林 英樹 Tazuke Kofukai Medical Research Institute, 医学研究所 第6研究部, 研究員 (70510642)
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Keywords | 移植・再生医療 / 脳神経疾患 / トランスレーショナルリサーチ / バイオテクノロジー / 発生・分化 |
Research Abstract |
マウス細胞であるPA6細胞と共培養することでマウスおよびヒトES細胞からドーパミン産生神経が誘導されることが知られているが、その誘導因子は依然同定されていない。昨年度の研究で、PA6細胞の分泌因子のうちWntに関連する因子ではWnt5aとsFRP1が未分化ES細胞の神経分化誘導において重要な役割を果たしていることを突き止めた。sFRP1は通常Wntのアンタゴニストとして働くが、Wnt5aと協調的に神経分化を促進することが分かった。Wnt5aにmyc tagを付加したベクターをES細胞に誘導すると発現量が適切なものでは神経系への分化が促進されるが、過剰に発現させるとむしろ神経誘導は抑制されて内胚葉系への分化が促進された。次に定量的real time RT-PCRで分化過程のES細胞に発現するWnt受容体のmRNAの発現量を調べると、未分化ES細胞から神経幹細胞へ分化誘導するまでに4日を要するが、分化途中の2日目の細胞ではFrizzled(Fz)2、Fz7、Fz8、LRP5、Ror2が強く発現していることが分かった。免疫染色でも蛋白レベルでの発現が確認された。また2日目では神経幹細胞誘導に必要なOct4は陽性だが、ES細胞の未分化維持に必要なNanogが消失していることを免疫染色で確認した。特定のWnt受容体が発現していることにより、Wnt5aとsFRP1が協調して未分化ES細胞から神経への誘導がなされるものと考えられた。これまでヒトES細胞からの神経誘導にマウス由来のPA6細胞を利用していたが、PA6細胞から分泌されて神経分化誘導を促進するWnt5aとsFRP1を培養液に直接入れることにより純粋な培養系を開発することが可能となった。
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Research Products
(2 results)