2009 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞分化誘導系における造血幹細胞の前駆細胞の同定
Project/Area Number |
20890285
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 洋介 The Institute of Physical and Chemical Research, 幹細胞研究グループ, 客員研究員 (10509087)
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Keywords | Gata1 / Runx1 / VE-cadherin |
Research Abstract |
本年度の研究成果としてGata1-IRES-Mer-Cre-Merノックインマウスを樹立した。タモキシフェンを投与することにより一過性にCreの発現が誘導でき、レポーターマウスとのかけ合わせにより発生段階特異的にGata1+細胞をラベルすることができる。現在、E7.5におけるGata1+細胞(この時期のGata1+細胞のほとんどはVE-cadherinを発現している。)をラベルし、成体型造血への貢献を検討中である。これまでに、E7.5のGata1+/VE-cadherin+細胞は少なくともE9.5のyolk sacのVE-cadherin+細胞には貢献(分化)していないことが分かった(未発表)。今回はFACSによる解析しか行なっていないが、LacZレポーターマウスとかけ合わせることでE8.5以降のP-Sp/AGM領域の血液細胞クラスターへの貢献があるかを組織学的に評価する予定である。これにより、E7.5のGata1+/VE-cadherin+細胞がE8.5のP-Sp領域からの造血に貢献しているかどうかが明らかになり、非常に重要な知見が得られることになる。 RVG25細胞株を用いたES細胞分化誘導系では、前年度の研究において分化誘導4~6日目のRunx1+/VE-cadherin+細胞集団中にB細胞分化能を有する細胞が多く含まれ、Runx1-/VE-cadherin+細胞集団には含まれていないことがわかつた。今年度はRunx1+/VE-cadherin+細胞集団をGata1やCD41の発現によりさらに4つの細胞集団に分け、Gata1+細胞集団にB細胞分化能を有する細胞がより多く濃縮されていることを明らかにした。また、ES細胞分化誘導系において、Runx1+の血管内皮細胞からのみ成体型の血液細胞(B細胞分化能を有する細胞)が分化してくることがわかったので、血管内皮細胞から成体型の血液細胞が分化してくる際に重要な遺伝子をスクリーニングする目的で、B細胞への分化能を持たない血液細胞((1)primitive HPCs ; Runx1+/VE-cadherin-/CD41+),B細胞への分化能を有する細胞((2)hemogenic EC1 ; Runx1+/VE-cadherin+/CD41+と(3)hemogenic EC2 ; Runx1+/VE-cadherin+/CD41-)とnon-hemogenic EC((4)Runx1-/VE-cadherin+/CD41-)細胞に対してGeneChip解析を行った。現在、データを解析中である。特にRunx1により発現が制御されている遺伝子で、(1)と(2)(3)とで発現量に有意な差が認められるもの((4)では当然発現していない)が重要である。これにより、成体型血液細胞への分化メカニズムが解明できれば、造血幹細胞の発生メカニズムの解明につながることが期待できる。
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