2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺がんの予防要因を明らかにするためのコホート内症例対照研究
Project/Area Number |
20890291
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
島津 太一 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 予防研究部, 研究員 (00466202)
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Keywords | 癌 / イソフラボン / 疫学 / コホート研究 |
Research Abstract |
血漿イソフラボン類(ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテイン、イコール)濃度と肺がんリスクとの関連について、コホート内症例対照研究デザインにて検討をおこなった。本検討とあわせてコホート全体の対象者で質問票から推定されるイソフラボン摂取量と肺がんとの関連についても解析をおこなったが、男性、女性とも未喫煙者でのみイソフラボン摂取による肺がんリスクの低下が示唆されたため、血漿イソフラボン類濃度の検討については未喫煙者が大部分をしめる女性に焦点をおいた。症例・対照については、1990年と1993年からすでに開始されているコホート研究(JPHC Study)の対象者である40歳以上70歳未満(調査開始時年齢)の住民約14万人のうち、質問票に回答し血液サンプルが得られた女性のなかから選択した。症例は追跡期間中の肺がん罹患例とし、対照は、年齢・居住地・喫煙状況・採血時期・採血時刻・空腹時間を症例にマッチングして選択した。つぎに、症例126名(未喫煙者117名、93%)・対照252名について研究開始時に採取され凍結保存されている血液サンプルを用い血漿イソフラボン類濃度を測定し(血漿ゲニステイン濃度中央値:症例72.0ng/ml、対照72.4ng/ml)、肺がんとの関連について解析をおこなった。検討した血漿イソフラボン類のうちゲニステインと肺がんリスクとの間に負の関連を認めた。本研究ではイソフラボン摂取量、血中イソフラボン濃度という異なる測定方法で一致してイソフラボンによる肺がんリスクの低下を示唆する関連性がみられた。これらの結果はイソフラボンが肺がんの予防要因である可能性を支持するものであった。
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