2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890294
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
渡辺 玲 Research Institute, International Medical Center of Japan, 細胞組織再生医学研究部, 研究員 (50505154)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 制御性B細胞 / CD19 |
Research Abstract |
元来CD19は、B細胞の応答を促進性に制御する反応制御分子とみなされてきたが、平成20年度の研究において、マウスSLEモデル(BWF1)において、CD19を欠損させると抗核抗体の出現が遅延する一方で腎炎の発症が早まり、生存期間が短縮することが判明し、SLEにおいてCD19が促進性、制御性双方の作用を有することが示唆された。また近年、脾臓marginal zone B細胞と表現型が類似したCD1dhiCD5+B細胞の分画内にIL-10分泌を介して抑制性作用を呈する制御性B細胞(B10細胞)の存在が報告され(Yanaba, K., et al., 2008.Immunity 25 : 639)、CD19欠損マウスではB10細胞が欠損することが判明した。そこで、BWF1の系でも野生型とCD19欠損マウスにおいてB10細胞が疾患発現に関与している可能性を考え、この分画を経時的に検討したところ、野生型では疾患発現に伴いB10細胞分画が増数する一方、CD19欠損マウスではこの分画が欠如することが判明した。IL-10発現レベルも野生型ではSLEの疾患進行に伴い増加するのに対しCD19欠損マウスでは低値のままであった。さらに、BWF1野生型マウスのB10細胞を単離しBWF1・CD19欠損マウスに移入したところ、CD19欠損マウスの腎炎発症が遅延し、生存期間が有意に延長することが判明し、CD19がB10細胞の分化を通してこのマウスSLEモデルにおける疾患発現を抑制性に制御していることが示された。さらに、このB10細胞の移入により、BWF1・CD19欠損マウスにおいて(CD19がB細胞特異的分子であるにもかかわらず)減数していた制御性T細胞の分画が回復することも示され、B10細胞が制御性T細胞の分化にも関与している可能性が示唆された。
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