2008 Fiscal Year Annual Research Report
経口投与可能な粘膜免疫誘導型エイズDNAワクチン開発の基礎研究
Project/Area Number |
20890301
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
清水 佑也 National Institute of Biomedical Innovation, 霊長類医科学研究センター, 研究員 (70470200)
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Keywords | ワクチン / 粘膜免疫 / HIV-1 |
Research Abstract |
多くの病原体は粘膜面を介して感染することから、粘膜免疫を強く誘導するワクチンの開発が望まれている。特にウイルス排除に重要な細胞障害性リンパ球の誘導に優れたDNAワクチンを経口的に粘膜面に送り込む手法はいまだ確立されていない。本研究では、粘膜感染を起こすエイズウイルス(HTV-1)に対するワクチン開発の基礎研究として、経口感染するE型肝炎ウイルス(HEV)のウイルス用中空粒子(VLP)を用いて、経口投与により粘膜免疫を誘導するエイズDNAワクチンの開発を行った。まず、細胞性免疫を誘導するHIV-1Gag DNAワクチンの調整とその免疫誘導能の評価系を確立した。免疫マウスの脾臓細胞を採取し,Gag抗原特異的なT細胞増殖試験、抗原特異的なサイトカイン産生細胞数の測定を行い,DNAワクチンの免疫誘導能について検討した。次に、DNAワクチンを経口的に粘膜に送り込むための立体構造物としてHEVのVLPを調整した。VLPにはHIV-1Envの抗原エピトープを表出するキメラVLPを用い、VLP表面のEnvとVLP内部に封入したGag DNAワクチンによりEnv・Gag両者の免疫応答を誘導できるワクチンを調整した。このワクチンをマウスに2週間隔で3回投与したところ、腸間膜リンパ節、バイエル板などの粘膜関連リンパ組織および脾臓においてEnvおよびGag特異的な免疫応答の誘導が認められた。一方、Gag DNAワクチンを通常のワクチン投与ルートである筋肉内接種した場合では脾臓のみで免疫応答が認められた。今回の研究により、HEV-VLPに抗原エピトープを表出させ、さらにDNAワクチンを封入することで、通常では誘導困難な粘膜面の細胞性免疫応答を経口的に誘導できる事が明らかとなった。この手法を用いることで粘膜感染に対するワクチン開発や粘膜面への遺伝子治療の可能性が示された。
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Research Products
(1 results)