2008 Fiscal Year Annual Research Report
希土類-鉄系パノスコピック組織体の創製とGHz帯域対応電磁波吸収能の高度発現
Project/Area Number |
20900105
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉本 諭 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (10171175)
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Keywords | ナノコンポジット / 電磁波吸収 / リコイル率 / 交換相互作用 / 共鳴周波数 / エアロゾルデポジション / 透磁率 / 積層膜 |
Research Abstract |
目的 : 近年モバイル通信機器においては遠方からの妨害電磁波を防ぐ遠方界電磁波吸収体と筐体内部において内部干渉などを引き起こす電磁ノイズの影響を防ぐ近傍界対応電磁波吸収体の開発が急務とされている。本研究では遠方界電磁波吸収体では希土類磁石化合物のナノコンポジット化、近傍界電磁波吸収体ではエアロゾルデポジション(AD)法を用いたFe/希土類酸化物複合膜・積層膜の可能性を検討した。 実験方法 : 遠方界対応の電磁波吸収体ではY_2Fe_<14>BとFe_3B相からなる急冷薄帯を作製し、熱処理後樹脂複合体を作製してネットワークアナライザーにて電磁波吸収特性を測定した。一方、近傍界電磁波吸収体では積層膜を作製するため、エアロゾルチャンバーを強磁性粉用、絶縁粉用の2つを用意し、デポジションチャンバー内にもそれぞれ独立したノズルを設け成膜した。基板のスキャン速度、回転速度、ガス種、ガス流量による噴射速度を制御することによって積層膜における各層の厚さを変化させた。得られた膜の磁気特性、電気抵抗、高周波得性を測定し、組織を観察し、積層化による高周波特性向上の可能性について検討した。 結果 : 得られた結果をまとめると以下のようになる。遠方界電磁波吸収体 : (1) Cu添加により結晶粒微細化が進みリコイル率が大きくなる。(2) リコイル率と共鳴周波数シフトの相関は、結晶粒径と共鳴周波数シフトの相関であり、結晶粒径制御が共鳴周波数シフトを得るために重要である。(3) ナノコンポジットは共鳴周波数ならびに整合周波数を制御する方法として有功である。近傍界電磁波吸収体 : (1) 搬送ガスにN_2ガスを用いることで膜厚が均一になり、層構造を有する厚膜が成膜できた。(2) As-depo. 状態の積層膜で飽和磁気分極Js=0.7〜1.1Tなる値を示した。(3) 熱処理によって透磁率が上昇し、共鳴周波数frが低周波側にシフトした。
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