2008 Fiscal Year Annual Research Report
包接型希土類系熱電変換材料のパノスコピック形態制御による高性能化
Project/Area Number |
20900124
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
勝山 茂 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (00224478)
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Keywords | ゼーベック係数 / 電気抵抗率 / 熱伝導率 / スクッテルダイト / ヘビーフェルミオン / 階層的形態制御 / メカニカルミリング |
Research Abstract |
熱電変換材料の性能は無次元性能指数ZT(=S^2T/(p×κ)、S ; ゼーベック係数、T ; 動作温度、ρ ; 電気抵抗率、κ ; 熱伝導率)によって決まるが、これらのパラメータは物質中におけるキャリア密度のほか、結晶粒径や添加物の分散状態など材料の微細組織の影響を強く受けるため、その性能の向上には原子レベル(〜nm)から結晶粒レベル(〜μm)までの幅広い範囲にわたる階層的形態制御(パノスコピック形態制御)が必要である。本研究はスクッテルダイト化合物や希土類ヘビーフェルミオン化合物などの包接型化合物について、原子空孔への元素挿入を行ったり、メカニカルミリング等、粉末冶金的手法により結晶粒径や添加物分散状態などを階層的に形態制御することにより、熱電変換材料としての性能の向上をはかるものである。昨年度はスクッテルダイト化合物について希土類元素充填およびMoO_2微細分散により性能の向上を達成したが、今年度はCu_3Au型構造を持つ希土類ヘビーフェルミオン化合物YbAl_3について検討を行った。Cu_3Au型構造は欠損型ペロブスカイト構造と見ることができ、6個のAl原子が作る八面体の中心に原子空孔が存在する。この空孔に原子が充填したYbAl_3M_x(M ; B, C, x=0.05, 0.10)を作製した。X線回折およびEPMAによる分析により、BおよびCの空孔への充填が確認できたが、試料の組成にやや不均質性が見られた。これらの試料のゼーベック係数および電気抵抗率は無充填のYbAl_3とほぼ同程度であったが、熱伝導率はB充填により減少する傾向が見られた。Wiedemann-Franz則による解析の結果、これは熱伝導率の格子(フォノン)成分が減少した結果であることがわかった。結果として、YbAl_3B_<0.10>のZTは573Kにおいて0.34であり、無充填のYbAl_3の0.32をわずかではあるが上回った。試料の均質性の向上および結晶粒径や添加物の分散状態制御により更なる性能の向上が期待できる。
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Research Products
(3 results)