2021 Fiscal Year Annual Research Report
新冷戦期における対中・対韓経済協力をめぐる日本の政治過程
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20F19311
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
井上 正也 成蹊大学, 法学部, 教授 (70550945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM EUNJUNG 成蹊大学, 法学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 経済外交 / 日韓関係 / 対韓経済協力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を通じて、1980年代日本の対韓経済協力資金提供をめぐる従来の見方に再考をうながす知見が得られた。1980年代初頭における日本の対韓経済協力の決定過程について、従来は、中曽根康弘首相の政治力が対韓交渉の妥結要因であった評価する一方で、前任の鈴木善幸政権においては、鈴木首相自身のハト派的姿勢のため対韓交渉が失敗したと評されてきた。先行研究では各首相の個性の違いと対外戦略を結びつける傾向が強かったといえる。 本研究を通じて、中曽根政権下の対韓経済協力の決定は、前政権である鈴木政権下でほぼ成立していたことが明らかになった。鈴木政権は、新冷戦期における対韓協力を通じた対米協力の必要性を概ね認めていた。また韓国から多額の経済援助を要請される以前から経済協力の政治的必要性を考慮していた。従来の研究では、対照的な外交政策を展開していたように見られる両政権であるが、経済外交を軸とする対アジア政策の文脈では両政権は連続する点が多かった。これは外交政策決定における外務官僚の影響力が強かったことを示唆している。 一方、日本の対韓経済協力をめぐる政策決定過程を軸に分析を行った本研究は、同時期に行われた対中円借款(ODA)政策と比較分析を行うための土台となった。日本の対韓経済協力は、円借款を中心に行われ、米ソ間の新冷戦が展開されるなかで推進された。そのため、同時期に進められた対中経済協力との共通性を見いだすことが可能である。当該期の日本の経済協力を冷戦戦略の文脈から見ることも可能であるが、1978年の日中平和友好条約締結後に開始された対中円借款と、1982年頃に形成された対韓経済協力では、政策形成の経緯や政策論理からして相違がある。こうした点に留意しつつ、引き続き、この時期(1970年代末期~1980年代初期)における日本外交の特徴を抽出することを、今後の研究課題としたい。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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