2020 Fiscal Year Annual Research Report
Electrocatalytic activity of Platinum group metal alloy nanostructure for oxygen reduction reaction in PEMFC
Project/Area Number |
20F19756
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Research Institution | Hokkaido University |
Host Researcher |
八木 一三 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (40292776)
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Foreign Research Fellow |
TADGELL COLIN 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ構造体 / 電極触媒 / 三元ナノフレーム / 酸素還元反応 / 複合機能化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pt3Niナノフレーム(PtNiNF)は、固体高分子形燃料電池(PEFC)カソード触媒として、最近注目されているナノ構造体である。特に、燃料電池自動車(FCV)における負荷変動試験(アクセルとブレーキの繰り返しに対応する耐久性試験)に対して、PtNi3合金自体が耐久性があることが知られているが、ナノ構造化によりその耐久性はさらに向上する。本研究では、二種類の金属の合金である二元系合金のナノ構造体の反応活性と耐久性をさらに優れたものにするため、三元系合金触媒を開発する。また、触媒を固定して電極として利用するために用いられている担体は従来カーボンブラックという炭素担体であったが、本研究では窒素や硫黄、あるいは金属酸化物を炭素担体に導入することで、性能の底上げを図る。 本年度はまず、PtNiNFを再現性よく調製できるよう合成技術を修得し、触媒のキャラクタリゼーションに用いる走査型透過電子顕微鏡(STEM)やX線光電子分光(XPS)、誘導プラズマ質量分析(ICP-MS)、X線回折(XRD)などについても、使用できるよう研究環境を整えた。電気化学的手法についても、サイクリックボルタンメトリー(CV)や一酸化炭素ストリッピングボルタンメトリー(COSV)、ORR性能を評価するための回転電極を用いた評価法を身につけた。 ついで、PtNiNFにもう1種類の金属を加え、三元系ナノ構造体の調製を試みた。理論計算で活性の向上が見込まれている金属種はもとより、PtやNiと合金化しやすい金属前駆体を導入し、得られた触媒についてORR活性を評価することで組成の最適化を図った。ロジウム(Rh)やイリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)のほか、マンガン(Mn)や銅(Cu)、コバルト(Co)などについても検討した。その結果、Irを加えたPtIrNiNFが再現性よく合成できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載したとおりの成果が得られており、三元金属ナノフレームの合成に成功した。キャラクタリゼーションの手法や電極触媒活性評価についても実際に実験できるようになり、次年度の研究に向けた準備が整ったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
PtIrNiナノフレーム(NF)が最も活性かつ酸素発生能も備えていることが明らかになったため、バイファンクショナル電極触媒として利用することを計画している。当初予定していた異種元素導入炭素担体では酸素発生反応による担体の劣化が予想されるため、導電性酸化物担体への担持を進めており、いくつかの導電性酸化物担体への担持を試み、酸素還元反応(ORR)と酸素発生反応(OER)への活性を両立させたい。一方、最近ではPtIr合金におけるアノード触媒としての性能(酸素・水素共存下における低過酸化水素発生能)が注目されており、水素酸化反応(HOR)を加えたトリファンクショナル電極触媒への展開も十分に考えられる。 導電性酸化物担体として、インジウムスズ酸化物(ITO)やアンチモンスズ酸化物(ATO)あるいはペロブスカイト導電性酸化物を想定しており、各種酸化物粒子を調製後、PtIrNiNFを担持し、ORR性能とOER性能を評価し、それぞれについて最適な組合せを得るとともに、同一の組合せで両方の反応に対して高い活性を得るための方策を検討する。
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