2020 Fiscal Year Annual Research Report
合成後期における芳香族官能基化を活用した超耐光性蛍光色素のライブラリー創製
Project/Area Number |
20F20034
|
Research Institution | Nagoya University |
Host Researcher |
山口 茂弘 名古屋大学, 物質科学国際研究センター(WPI), 教授 (60260618)
|
Foreign Research Fellow |
WU QIAN 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
|
Keywords | 近赤外蛍光色素 / 蛍光イメージング / タンパク質標識剤 / 高耐光性 / 細胞膜透過性 / 構造異性体 / 生細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,多様な蛍光顕微鏡技術が急速に発展し,細胞の形態変化や動態を高い時空間分解能で可視化計測できるようになってきた.しかし,これらの技術に対応する蛍光試薬の開発は進んでおらず,蛍光顕微鏡の性能を十分に引き出しているとはいえない.細胞を高い時空間分解能で長時間観察するためには,高い光安定性と輝度,細胞膜透過性,および標的特異性を満たす近赤外蛍光標識剤の開発が求められる.この課題に対して我々は,高耐光性近赤外色素としてリン含有ローダミン色素PREX 710を開発し,イメージング研究における有用性を示してきた.本研究ではこれを基盤とし,細胞膜透過性をもつ近赤外蛍光標識剤POR-BTを開発した. POR-BTはキサンテン骨格の9位の炭素にベンゾチオフェン-2-カルボン酸を有している.蛍光性の双性イオンと非蛍光性のスピロラクトンとの間の平衡を利用することで,細胞膜透過時において脂溶性のスピロラクトンを形成し,膜透過性を高めるよう設計した.POR-BTを合成したところ,シス型とトランス型の異性体を分離することに成功した.X線構造解析によりそれぞれの異性体の構造を同定した.その結果,ベンゾチオフェン環の2位にあるカルボン酸と,リン原子上に存在するフェニル基との間で分子内水素結合を形成していることがわかった.次に,タンパク質タグの一つであるHalo-tagに結合するリガンドを導入し,標的タンパク質の標識を試みた.その結果,シス型では細胞内の膜組織に対する非特異的な吸着がおこり,標的タンパク質がほとんど染色されなかったのに対し,トランス型ではHalo-tagが発現しているオルガネラのみを特異的に標識できることがわかった.実際,トランス型のPOR-BTを用いて染色した細胞については長時間観察が可能であり,例えば細胞分裂におけるヒストンの動態を90秒間隔で24時間にわたって追跡することができた.
|
Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|