2020 Fiscal Year Annual Research Report
Developing the screening strategy for the drug resistance in tick based on the acaricide resistant mechanism
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20F20093
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
辻 尚利 北里大学, 医学部, 教授 (70355171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HERNANDEZ EMMANUEL 北里大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-07-29 – 2022-03-31
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Keywords | フタトゲチマダニ / 殺ダニ剤 / SNP / 遺伝子ドライブ / CRISPR-Cas9 / 次世代マダニ制御技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
マダニは吸血性の節足動物である。したがって、宿主動物の血液は、マダニ種の存続と繁栄を司る唯一無二の栄養源といえる。マダニの吸血は、ヒトや動物などの宿主の貧血、皮膚の損傷、および畜産物の生産効率に甚大な直接的被害を及ぼしており、さらにはウイルス・細菌・リケッチア・寄生虫など、多種多様な病原体を媒介することによる間接的被害をももたらす。このようなマダニとマダニ媒介感染症を未然に抑制する科学的に裏付けられた手段が、有機リンや合成ピレスロイド等の殺ダニ剤の使用であるが、殺ダニ剤の頻回投与や不適切な散布等により、現在多くの国でこれらの殺ダニ剤に対する抵抗性を獲得したマダニの出現と生息域の拡大が問題となっていることから、本研究では抵抗性形質の迅速な検出法の開発を企図する。 本年度は、殺ダニ剤アミトラズ標的であるマダニオクトパミンの受容体の感受性に影響を及ぼすことが疑われるアミノ酸置換一塩基多型(cSNP)情報をえることができ、変異型オクトパミン受容体の遺伝子構造解析を行った。そこで、この遺伝子情報をもとにした次世代型マダニ制御遺伝子ドライブ技術の開発に資する技術開発を目指すため、翻訳伸長因子の遺伝子についての転写開始点上流1Kbを蛍光タンパク質発現遺伝子に組込み、マダニ培養細胞での発現を確認することができた。本プロモーター配列を利用したCRISPR-Cas9によるオクトパミン受容体ノックアウト技術の確立が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は段階的に研究を遂行し、マダニの殺ダニ剤抵抗性因子において重要な機能を有する一遺伝子多型SNPを明らかにすることを目的としている。本年度の成果として、アミノ酸置換を伴うSNPの特定に成功したことから、本SNPを標的としたノックアウト技術の開発による次世代型マダニ制御技術の開発に資する知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、フタトゲチマダニでの次世代ノックアウト技術を確立し、殺ダニ剤標的遺伝子のSNPが欠損したマダニの作出を試み、当該SNPが責任遺伝子であるかを確認する必要がある。これによりマダニの病原体伝播防除やマダニそのものを制御制圧することが可能となる新規マダニ防除法としての有用性に着目した研究を展開することが可能となる。
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