2021 Fiscal Year Annual Research Report
From Communal Solidarity to Transnational Nationalism: Deterritorialization of Kurdistan
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20F20306
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山口 昭彦 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (50302831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHALILI MOSTAFA 上智大学, アジア文化研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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Keywords | クルド / クルディスタン / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、トルコ、イラク、イランの国境地帯にまたがるクルド系住民を対象にして、彼らの間に前近代から見られた国境を越えた絆や連帯意識が、今日、次第に近代的なナショナリズムへと変容しつつある過程を、人類学的手法によって明らかにすることを目的とするものである。具体的事例として、有力な神秘主義教団のシャイフの家系サーダーテ・ネフリー一族や彼らの影響下にある人々に焦点を当てる。上記3国にまたがって暮らす、この一族のメンバーや周辺の人々がクルディスタン各地でたどった歴史的な経路の多様性を検証することを基本的作業とする。こうした調査によって、各国のクルド人がそれぞれの国で異なる社会的・政治的環境におかれたがゆえに、クルド人意識やクルド・ナショナリズムについて、それぞれ異なった認識をいだいてきたことを実証的に明らかにすることを目指している。 2021年度には、これまで収集した資料の解読やそれに基づく論文執筆を行ったのち、年度末には2カ月にわたってイランとトルコに滞在し、文書館等での史料の収集にあたるとともに、クルド地域の町や村での聞き取り調査などの情報収集を集中的におこなった。イラクでの同様の調査を予定していたが、政治状況に鑑みて断念した。 この他、東京医科歯科大学教養部において"Global Refugee Crises and the Middle East: The Case of Kurds"と題する講演を行った。 また、科研費研究課題「アレヴィー諸集団の境界と認識のコンフリクト及びエスニシティの変容ー中東と欧米」(研究代表者:佐島隆)の研究会において以下の二つの研究発表を行った。 (1)"Socio-political Challenges of Ahl-e Haqqs in Tabriz after the 1979 Revolution: Urbanization, Divisions, and Survival Strategies" (2)"An Overview of Ahl-e Haqq Kalams in Azerbaijani Turkish: Divan-e Qushchu Ogl“
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のために2020年度は現地調査を行えず、やや研究に遅れがみられたが、2021年度は比較的長期にわたる現地調査を行うことができ、おおむね予定通りに研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、機会を見て現地調査を行い、他方で、これまでに収集した資料に基づいて論文を執筆し国際学術雑誌に順次、投稿する予定である。
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