2020 Fiscal Year Annual Research Report
新規C3N5型光触媒を用いた水素ガス同時生成を可能とする排水酸化処理技術の開発
Project/Area Number |
20F20342
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 学 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (30598503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SETHUMATHAVAN VADIVEL 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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Keywords | 窒化炭素光触媒 / g-C3N5 / 促進酸化処理 / 新興汚染物質 / 水素ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新規窒化炭素光触媒(g-C3N5)を用いた促進酸化処理(AOP)による新興汚染物質の除去効率向上ならびに水素ガス同時生成を目的とする。不均一光触媒プロセスは、様々な有害汚染物質を除去可能な有用技術であるが、従来から広く研究されている二酸化チタン(TiO2)や酸化亜鉛(ZnO)などの光触媒は、可視光や近赤外領域では十分に触媒活性を示さない。本研究では、窒化炭素(g-C3N5)をホスト材料として、新規可視光活性ヘテロ接合型光触媒を作製し、可視光および模擬太陽光の下で光触媒材料として活用を目指す。研究初年度は、Bi4O5Br2/g-C3N5ヘテロ接合体、フェントン型FeOCl-g-C3N5複合体、g-C3N5-グラフェン量子ドット複合体の3つの新規触媒をそれぞれ合成し、X線回折(XRD)、電界放出型走査電子顕微鏡(FESEM)、高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)、元素分析(EDS)によっての物性(構造・形態等)分析を行った。また、Bi4O5Br2/g-C3N5ヘテロ接合型光触媒、フェントン型FeOCl-g-C3N5複合体、g-C3N5-グラフェン量子ドットを用いて、アトラジン(純水中10ppm)の分解予備試験を実施し、g-C3N5単体より複合材の方が高い除去効率を示すことを明らかにした。さらに、ラジカル捕捉実験を実施した結果、活性酸素種の中でもスーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシルラジカルがアトラジンの分解に重要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は、複合材の合成ならびに代表汚染物質(カルボフラン)を用いた予備分解試験を実施することを計画しており、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の研究では、g-C3N5複合材による汚染物質の分解メカニズムの特定や過硫酸塩/ペルオキシモノ硫酸塩系を活用した触媒反応活性化等を実施する予定である。また、水素ガスの発生量等の観測を始め、効率的な水素ガス生成条件の検討に入る。
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