2021 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素水素化による低温メタノール合成に有効な高機能触媒系の開発
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20F20345
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 研一 北海道大学, 触媒科学研究所, 教授 (60324000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG GANG 北海道大学, 触媒科学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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Keywords | 不均一系触媒 / 二酸化炭素 / 水素化 / 低温メタノール合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化と化石資源の枯渇への危惧が増す中、サステナブルな炭素資源となり得るCO2を水素化して様々な化学品へ変換する研究が盛んに行われている。その中でもメタノールは化学工業の基幹品であり、多くの研究がなされてきた。CO2/H2からのメタノール合成は既に工業化されているが、Cu系触媒を用いる現行プロセスでは高温高圧(200-300C, 5-10 MPa)の厳しい反応条件が課題となっている。CO2/H2からのメタノール合成は発熱反応であり、反応速度論的に有利な高温条件下ではメタノール収率が低下する。つまりどんなに優れた触媒を用いても、メタノール収率向上のためには大量の未反応ガスのリサイクルが必要となる。このような平衡制約の観点から反応温度の低温化が望まれており、150C以下の低温域におけるCO2/H2からのメタノール合成に関する研究が近年精力的になされている。 このような背景の下、我々の研究グループでは、CO2/H2からのメタノール合成に有効な固体触媒系の研究を進めている。本研究では、TiO2にReを担持した触媒とTiO2担持MoOx担体にPtを担持した触媒の2種類の触媒系の反応機構解析を行った。加えて、理論計算を用いた検討も行った。現代の計算化学で一般的に用いられる手法は、温度や圧力等の条件を考慮しないため、物質のダイナミクスが重要となる触媒分野では反応条件を加味した計算が必須となる。これらを考慮した手法を採用することで、実条件に即した理論計算からの知見を得た。上記の特徴的な2触媒の構造活性相関を明らかにすることで、改良触媒の設計および開発へとつなげる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
触媒動作条件下で触媒の分光学的評価と触媒活性・選択性の測定を同時に行う手法と定義されているOperando分光による反応機構解析を実施し、すでに有望な成果を得ている。実験に即した理論計算を利用した検討も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
Operando分光によるを検討をさらに加速させ詳細な反応機構を調査するとともに、構造-機能-性能の相関関係を明確化し、触媒設計指針を確立する。固体触媒の設計理論は体系化されていない部分が多く、触媒探索の方法論は「絨毯爆撃的なスクリーニング」から未だに脱却できていない。開発した新規触媒を単なる1成功例に終わらせることなく、その高性能要因を抽出し一般化することで、さらなる高活性触媒開発の礎とする。また、反応雰囲気や温度の影響を計算結果に導入できる第一原理熱力学法、マイクロキネティクスモデリング等を活用することで実条件に即した理論計算も行う。
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Research Products
(3 results)