2021 Fiscal Year Annual Research Report
構造コンクリートの長期安全性評価と広帯域温度に対応した複合耐久性力学
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20F20367
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
前川 宏一 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (80157122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG ZHAO 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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Keywords | イオン平衡 / カルシウム / 電気防食 / 電気泳動 / 化学平衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)高炉スラグの混入に伴う細孔組織の変化と高温下での水蒸気圧力上昇の関係を実験によって計測し、内在するコンクリートの爆裂リスクを定量的に評価する数値解析法を構築した。同時に高炉スラグ混入に伴うガラス化率の変化と、結晶レベルでの強度を既往の研究から数値解析に取り入れ、爆裂リスクが高まることを定量的に示した。 (2)高炉スラグの混入による塩分浸透抵抗性の向上が期待されることから、塩水浸水のもとでの高温爆裂リスクを数値解析で評価可能とすべく、既往の高炉スラグに関わる数値計算コードを強化開発した。この場合、細孔中の水分に溶け込む複数イオンの平衡と塩の沈殿をmulti-ion平衡モデルを組み入れた。 (3)コンクリートの細孔溶液を模擬したPSEUDO-CONCRETEを作成し、電場勾配の下で溶存するアルミニウムイオンとカルシウムイオンの濃度および水酸基の位置計測を行い、モデルの検証を行った。また、二酸化炭素濃度を変えた実験から、カルシウムイオンが正極近傍に集中する現象をとらえるとともに、平衡するポルトランダイト結晶の溶解が正極で加速して、コンクリート固体の強度が低下することを見出した。同時に水酸基の消費を確認した。 (4)電気防食を行うにあたり、沿岸域での塩水噴霧や飛来塩分が存在する環境下では、正極周りに二水石膏が沈積するリスクを予見することができた。この固体が防食電極膜近傍で生成することで、膜系の電極が破損するリスクも高まること、同時に接触するコンクリートの脱カルシウムとleachingが促進されるリスクを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオン平衡に関する実験は、当初、透明の水溶性ポリマーを使用したが、高い電位勾配のもとではポリマーが融解し、実験を長期継続できなかった。これに代わって、有機系疑似電解質を考案することで、ほぼコンクリート中の溶液と等価な環境を得て、実験をほぼ予定通り進めることができた。コンクリート中のPORE SOLUTIONとの整合性を確認するため、コンクリートを微細な粉体に粉砕し、水溶液との平衡を保って、有機系電解質に混入し、これまでの実験が実コンクリートを模擬していることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
高温域での挙動と対極にある低温域で、モデルの適用性と汎用性を確保することが、社会実装の上で必要と考える。特に海洋構造物への応用、および深海での長期安定性は浮体構造物の定着の観点で重要と考えている。そこで、海底の温度域で析出が想定されるタマサイト結晶を人工的に生成し、提案してきたmulti-scale multi-chemo-physicsモデルの検証に用いたい。
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Research Products
(2 results)