2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of polymeric micellar nanocarrier for messenger RNA delivery
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20F20369
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Research Institution | Kawasaki Institute of Industrial Promotion Innovation Center of NanoMedicine |
Host Researcher |
片岡 一則 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, センター長 (00130245)
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Foreign Research Fellow |
VAN GUYSE JOACHIM 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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Keywords | mRNAデリバリー / ポリプレックスミセル / ターゲッティング / 高分子合成 / ブロック共重合体 / ポリペプチド / ポリ(2-オキサゾリン) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ブロック共重合体とmRNAから得られるポリプレックスミセルの親水性コロナの構造がポリプレックスミセルのmRNA送達能に及ぼす影響を明らかにする。令和2年度は、ブロック共重合体の重合に用いる開始剤、モノマー、および重合後の修飾に用いる分子群を集中的に合成した。次に、末端にアリル基を持つポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)に対する末端修飾と、側鎖にエステルを持つポリ(2-オキサゾリン)の側鎖修飾を検討した。後者の側鎖修飾は、エステル基に対するアミノリシス反応で概ね効率よく進めることができた。ただし、アミノ基を持つスルホベタインによる修飾については、溶解性が問題となり単純には反応が進行しなかったため、代替ルートで目的物を得た。一方で、前者の末端修飾については、チオール-エン反応を試みたが、反応は効率的に進まなかった。熱や光による反応開始条件の最適化も行ったが、修飾効率は50%未満に留まった。そのため、ポリ(2-オキサゾリン)の末端修飾は、ペンタフルオロフェニル基に対するパラフルオロ置換反応を利用することにした。その結果、チオール、アジド、およびアミンを効率よく修飾することに成功した。他に、令和3年度の研究に向けて、in vitroやin vivoにおける機能評価の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ポリ(2-オキサゾリン)の末端修飾で採用する予定だったチオール-エン反応がうまく進行せず、熱開始反応と光開始反応の双方の最適化に時間がかかったうえ、結局いずれの検討も副生成物を防ぐに至らなかった。また、反応性が高いアリルエーテル鎖を導入して反応を試みたが、逆に修飾率は低下し、カップリングによる副反応が観察された。以上のことから、ポリ(2-オキサゾリン)の末端修飾にチオール-エン反応は適さないと結論付けざるを得なかった。とはいえ、本研究を進めるためには、ポリ(2-オキサゾリン)の末端に対するリガンド分子の導入やNCA重合の開始点の導入が必要であるため、その他の末端修飾方法を探す必要があった。末端修飾法の条件としては、逆末端のアジド基と側鎖のエステル基と反応しない方法を探索する必要があり、そのために多くの時間を要した。最終的には、ペンタフルオロフェニル基に対するパラフルオロ置換反応を利用する代替修飾法で目的が達成できることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
互いに影響を及ぼさない3つの反応(SPAAC、パラフルオロ置換、エステルアミノリシス)を利用して、mRNA内包ポリプレックスミセルの構築に必要なブロック共重合体を合成する。そして、得られたブロック共重合体からmRNA内包ポリプレックスミセルを調製し、その構造解析や生物学的特性の評価を行う。具体的には、まず、ポリプレックスミセルの粒径や表面電荷などの物理化学的特性とブロック共重合体の化学構造の関係を調べる。また、蛍光標識したポリプレックスミセルを用いた細胞内取り込みの評価やタンパク質発現効率の評価を行う。これらの評価はHuh7細胞やHela細胞を用いて実施する。さらに、ウシ胎児血清中やポリアニオンを含む緩衝液中におけるポリプレックスミセルの安定性を評価する。これらのin vitro評価によって、in vivo評価の計画に必要なポリプレックスミセルの構造-機能相関の情報が得られると期待される。他に、ポリプレックスミセルの親水性コロナの構造が、親水性鎖末端に結合するリガンド分子の標的親和性に及ぼす影響を表面プラズモン共鳴法により評価する。続いて、実験動物を用い、ポリプレックスミセルの静脈内投与後の血中滞留性や体内分布を評価する。血中滞留性は、ポリマーまたはmRNAいずれかもしくは両方に蛍光標識を施したポリプレックスミセルを用いて蛍光強度の追跡により評価する。体内分布は、ポリプレックスミセル投与後に対象臓器を回収し、その粉砕液の蛍光強度を測定することで評価する。また、各臓器におけるmRNAの翻訳活性について、蛍光タンパク質をコードしたmRNAを用いて評価する。尚、本年度中に、パラフルオロ置換反応を利用したポリ(2-オキサゾリン)の末端簡易修飾法に関する成果を論文にまとめる予定である。
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Research Products
(2 results)