2020 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated Modelling and Mapping for Assessing Coastal Ecosystem Vulnerability to Multiple Stressors
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20F20396
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 隆志 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (20513641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ELADAWY AHMED 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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Keywords | 紅海 / 海洋モデル / 環境シミュレーション / サンゴ礁 / 白化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が Coupled-Ocean-Atmosphere-Wave-Sediment Transport(COAWST)modeling system(Warner et al., 2008, 2010)をベースに開発を進めているサンゴ礁生態系モデルシステム(after Nakamura et al., 2018)を本研究対象海域である紅海へ適用し、1/36°(~3 km)解像度で紅海一帯をカバーする計算領域での流動計算を行えるフレームワークを構築した。また、このフレームワークを東工大のスーパーコンピューターTSUBAME3.0上で高速計算が出来るようにした。そしてTSUBAME3.0を用いて3年間分の長期のシミュレーションを実施し、紅海の広域的な流動場の把握や温熱環境、塩分環境の再現を行った。さらに、この計算ドメインからネスティングを行い、エジプト、Al-Gonahのサンゴ礁域にフォーカスした高解像度シミュレーションも実施し、Al-Gonahのサンゴ群集が近年に受けた熱ストレスについて解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のとおり、ほぼ当初の予定どおり、COAWST modeling systemを用いた紅海海域の海洋環境シミュレーションのフレームワークを完成させ、東工大のスーパーコンピューターTSUBAME3.0上で並列計算を実施できた。また、ネスティングによるエジプト、Al-Gonahのサンゴ礁域にフォーカスした高解像度シミュレーションも実施することができたため、研究は順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
紅海のサンゴ礁生態系の複合環境ストレスに対する脆弱性の評価を可能とするために、引き続き紅海のサンゴ礁生態系モデルシステムの開発を進める。また、モデルの検証のために、取得済みないしは取得可能なデータ、および今後取得が不可欠なデータについて整理を行う。必要不可欠であるが未取得のデータに関しては、コロナ禍で不確定な部分も多いものの、可能であれば紅海のサンゴ礁域(エジプト、Al-Gonahなど)にて、実際に現地観測を行い、海洋の水温・塩分・流れ等の物理観測や栄養塩等の水質観測、サンゴ群集の生態学的な観測等、必要な現地データを取得する。また、ツーリズムがサンゴ礁生態系に与える影響など、社会経済学的な調査も実施する。これらのデータを用いて、現象の理解、ならびに統合モデルシステムの検証や、さらに追加でモデルに組み込むべき素過程の検討および実装を行う。 また、開発したモデルシステムを、日本最大のサンゴ礁域である石西礁湖にも適用を試みる。また、これらの統合モデルシステムを用いて、紅海と石西礁湖のサンゴ礁生態系についてグローバルやローカルの様々な複合環境ストレス下でのシナリオ解析を行い、生態系の脆弱性のマッピングおよび、持続可能な社会経済システムの在り方についての提案を行う。
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