2021 Fiscal Year Annual Research Report
Tageting PD-L1 signals evoked in cancer stem cells
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20F20409
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
妹尾 昌治 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 教授 (90243493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AFIFY SAID 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント / がん幹細胞 / CD44陽性細胞 / CD133陽性細胞 / スフィア形成能 / 腫瘍形成能 / RNAシークエンス解析 / パスウエイ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト乳がん細胞株MDA-MB231、HCC1955、 BT20 細胞をスフィア形成させて培養したがん幹細胞画分においてPD-L1の発現と癌幹細胞マーカーCD44 の発現を確認できた。一方、ヒト末梢血由来単核球をOCT3/4, SOX2, KLF-4及びc-Myc 遺伝子を組み込んだ センダイウィルスベクターによりリプログラミングしたのち、フィーダ細胞上にコロニーを形成させ、内在性Nanog、OCT3/4、SOX2遺伝子の発現及びベクター由来遺伝子の未発現を確認してヒトiPS細胞を得た。この細胞をマトリゲルコート上で、肝細胞がん由来細胞株Li7細胞の培養上清を含む培地で28日間培養を継続し、培養上清非依存的に増殖する細胞画分hiPS-Li7cm細胞を得た。フローサイトメトリーでSOX2、CD24、CD44及びCD133の陽性割合を調べたところ、CD133+、CD24+、CD44+、CD133+/CD44+及びSOX2+/CD24+の80、79、34、32及び58%であった。CD133+及びCD24+の細胞が多いこと、さらにスフィア形成能も確認できたことから、NOD SCIDマウスに移植して腫瘍形成能を検討した。形成した腫瘍は切片の染色像から悪性と判断され、さらに転移も認められたことからhiPS-Li7cm細胞はがん幹細胞であると結論した。腫瘍から調製した初代培養細胞hiPS-Li7cmP細胞と合わせてRNAシークエンス解析及びパスウエイ解析をなったところ、有意なパスウエイとして“がんにおけるPD-L1発現とPD-1チェックポイントパスウエイ”が挙げられた。しかし、がん幹細胞としてPD-L1の発現をhiPS細胞由来とがん細胞株由来で比較すると後者では発現が顕著であるのに対し前者では比較的低いことから、PD-L1の役割に何らかの違いが存在すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた活性化T細胞のモデルとして、ヒトT細胞株Jurkat細胞にPD-1発現ベクターを導入して用いる方針をとったが、樹立が間に合っていない。しかし、時間が掛かったもののがん幹細胞の準備が整ったことで、PD-1ぺプチドによる刺激を行って細胞内シグナルAKT/mTOR経路への影響及びラパマイシン耐性および感受性を検討することは可能な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
調製したがん幹細胞にRK-10ペプチド刺激を与えてリン酸化による細胞内シグナルが誘起あるいは減弱されるかを精査してがん幹細胞側の感受性を確認する。中でもAKT/mTORの活性化が認められる細胞については、以下の実験において最優先で解析を進める。感受性が認められる細胞に対し、ラパマイシン耐性が上昇するがん幹細胞に対しては、抗PD-L1抗体によりPD1(RK-10)とPD-L1の結合を阻害してPD1刺激が抑制される場合のラパマイシン感受性の変化を検討する。この結果、PD1刺激によりAKT/mTORの活性化が増強されてラパマイシン耐性が上昇する細胞においては、siRNAを用いてがん幹細胞のPD-L1発現を抑制して、PD1刺激依存的なラパマイシン耐性の上昇が起こらないことを確認する。これらの結果が得られれば、PD1/PD-L1免疫チェックポイントにおけるT細胞はPD1によりがん幹細胞のAKT/mTORシグナル経路を活性化し、細胞の生存活性を高めているとin vitroで結論できる。さらに、ラパマイシンがPD1/PD-L1免疫チェックポイント阻害と相乗的に効果を示すことができれば、がん幹細胞を標的とする抗がん剤の新しい組み合わせとなることが期待されることから、免疫不全マウスを用いて担がんマウスを作成してin vivoによる試験を行なって効果を検証する予定である。
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