2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical design of cascade luminescent molecules using thermally activated delayed fluorescence
Project/Area Number |
20F20703
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
森 寛敏 中央大学, 理工学部, 教授 (90501825)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WEBER FABIAN 中央大学, 理工学部, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
|
Keywords | 電子状態 / マテリアルズ・インフォマティクス / 密度汎関数法 / 半経験分子軌道法 / 一重項分裂 / 熱活性遅延蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
密度汎関数理論に基づく電子状態計算により、量子収率200%となる一重項分裂分子となり得るヘテロ有機π電子系の迅速探索法の開発に挑んだ。具体的には、色素分子(インジゴ)に化学修飾を施した有機分子群について、電子状態データベースの作成とその機械学習を実施した(電子状態インフォマティクス )。具体的な機械学習の正解情報としては、時間依存密度汎関数理論に基づく高精度量子化学計算のデータを用いたが、それに対して、本研究では、特徴量として半経験的分子軌道法の活用が可能であることを見出した。これにより、従来の研究では不可能であった、1億を超える候補物質の迅速探索に道が拓かれた。この網羅的な実験・電子状態計算を回避しつつ、効果的に目的物質を設計する手法は、分子科学討論会および日本化学会にて発表を行った。また、現在、当該成果に関する論文を投稿し校正の段階に入っている。 さらに、これらの成果を基として、色純度に優れた熱活性遅延蛍光分子をインジゴベースの一重項分裂分子に連結することで、エネルギーカスケードによる発光量子収率200%となる熱活性遅延蛍光(TADF-EL)材料の探索も開始した。具体的には、畠山らにより発見された、二重共鳴型電子状態をもつ色純度に優れた TADF-EL 分子に着目し、二重共鳴型電子 構造をもつ分子を創成するための一般的ルールを見いだしている。これにより、次年度に予定する、色純度に優れた TADF-EL 分子を用いた有機レーザー分子の理論設計の計画に繋げることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍によりWeber氏の来日が遅延したが、来日後の研究活動については順調にスタートすることができた。本研究は、量子化学理論と機械学習を組み合わせたマテリアルズ・インフォマティクス研究であるが、量子化学理論を、精密化ではなく粗く近似する方向に舵きりしつつ適用することで、研究室に整備された計算機環境を最大限活用しつつ、成果を創出することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度作成した電子状態データベースと、その機械学習法をTADF-EL材料の探索に転用することで、一重項分裂とTADFの機能を併せ持つ、高効率TADF-EL材料の実現に取り組む。当該研究の推進にあたり、データベースの拡充も必要となるが、適宜データサーバーを拡充することで、次年度も効果的に研究成果の創出に取り組む。
|
Research Products
(2 results)