2020 Fiscal Year Annual Research Report
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20F20711
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
柳沢 俊史 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (20371106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CEGARRA POLO MANUEL 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-09-25 – 2022-03-31
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Keywords | 画像処理 / GPU / 宇宙デブリ |
Outline of Annual Research Achievements |
分布状況が全く分かっていない10㎝以下の低軌道の宇宙デブリの革新的な観測技術を開発する。宇宙デブリ問題は人類の宇宙活動を安定的に継続するうえで解決していかなくてはいけない課題である。これまでレーダーでの観測が主流であった低軌道の宇宙デブリに対しより位置決定精度や検出感度の高い光学センサを使った観測技術を開発している。外国人特別研究員と議論を重ね、画像で線状に写りこむ低軌道デブリの軌跡をハフ変換及びこれまでJAXAで開発してきたFPGAによる高速画像処理技術を応用し、より高速の解析技術を確立すべくGPUを利用した解析パイプラインの構築を実施した。FPGAで実施しているアルゴリズムをGPU用に改良し、低軌道デブリサーベイ画像を解析することによりこれまでのFPGAでの解析と同じ結果を出しつつ、解析時間を10倍程度短縮することに成功した。これにより毎秒100枚程度で画像を取得するCMOSカメラからの画像データをリアルタイムで解析することが可能になる。また、このアルゴリズムを応用し、1枚の画像に線状に写りこむ軌跡に対し、1画素レベルで同じ画像を移動方向に重ねる操作を繰り返すことにより、軌跡の方向にこの操作を実施したときに信号雑音比が向上するというアルゴリズムを開発した。これによりこれまでより10倍程度の解析時間の高速化を実現できた。これは東京大学が開発し木曽観測所に設置した大型のCMOSカメラ、Tomoe Gozenから得られる大量の画像データから低軌道デブリをほぼリアルタイムで検出することを可能にするはずである。本件に関しては学術論文に投稿し受理されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
画像上で線状の軌跡を残す低軌道デブリにたいしこれまでJAXAで開発してきた移動物体検出技術を適用することに成功し、これまでにないレベルの暗い軌跡の検出に成功した。これによりさらなる研究課題が生まれより高度な画像処理技術の確立が可能になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発してきた新たな画像処理技術を実際の観測画像に適用してゆく。JAXAでは豪州において遠隔観測装置を2局運用しており、これら観測装置から得られる大量の画像データをリアルタイムで解析するパイプラインを構築する。また、東京大学の木曽観測所に設置されている大型のCMOSカメラTomoe Gozenから得られる画像データにも本技術を適用してゆく。Tomoe Gozenで検出した低軌道物体はその軌道を詳細に決定すべく検出後ただちに豪州2局で追跡観測できる体制を整える。これにより大量の未カタログ低軌道デブリの軌道決定が可能となり、デブリ問題の解決に大きく貢献することが期待される。
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