2020 Fiscal Year Annual Research Report
Global 3D MHD simulations of young SNR interacting with molecular clouds
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20F20804
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 剛志 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (90531294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RIGON GABRIEL 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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Keywords | 超新星残骸 / 流体シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
超新星残骸は宇宙線の加速現場であると考えられており、また星間空間へのエネルギー放出としても主要な成分となっており、それがどのように進化するのかは宇宙物理学にとって極めて重要な問題になっている。歴史的には超新星残骸の進化理論は一様な星間媒質に超新星爆発の噴出物が広がるモデルをベースとして発展してきた。しかしながら、実際の星間媒質は一般に非常に非一様であり、非一様なガス中を衝撃波が広がると衝撃波下流で乱流が発生し、その乱流を起源として粒子加速に必要な磁場増幅が発生したり、衝撃波下流のダイナミクスが変更を受けたりする。本研究では非一様な星間媒質を初期条件として超新星残骸がどのように進化するのかを、時間依存する計算格子を取り入れて分解能を落とさないように工夫した3次元の流体力学シミュレーションを行うことによって研究した。計算コードはFLASHと呼ばれる公開コードをベースに計算格子の空間サイズがが時間と共に大きくなるように基礎方程式に変更を加えるモジュールを独自開発して加えた。シミュレーションは成功し、星間媒質が一様な場合と非一様な場合の両方について計算機上に年齢が500年の超新星残骸を再現することに成功した。データを解析し、超新星残骸の主にX線による観測結果を比較した結果、衝撃波と接触不連続面の間の平均距離や、逆行衝撃波と順行衝撃波の間の膨張速度プロファイルなどの観測量は非一様な星間媒質を考えないと説明できないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元の大極的な超新星残骸のシミュレーションが成功し、データを解析することによって衝撃波と接触不連続面の間の平均距離や、逆行衝撃波と順行衝撃波の間の膨張速度プロファイルなどの観測量を説明するためには非一様な星間媒質を初期条件として設定する必要があることが明らかとなった。これらのことから研究は順調に成果を出しつつあると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは今年度の研究で得られた成果を査読付きの欧文論文として出版する。その後、本研究で得られる数値モデルをさらに一般的なものにするために、初期条件として非一様な星間媒質だけでなく、超新星爆発前の恒星活動(星風等)によってバブルが形成されているような場合についてのシミュレーションも行なっていく。さらに基礎方程式を磁気流体にすることで磁場の効果も取り入れてシンクロトロン放射の観測特性についても研究を行う。
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Research Products
(4 results)