2021 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル基超合金粉末成形体の焼結における炭素および酸素の挙動に関する解析的研究
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20F40749
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
品川 一成 九州大学, 工学研究院, 教授 (30215983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOEFLER THOMAS 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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Keywords | 焼結 / フェーズフィールド法 / ニッケル基合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度,モデル材料として,合金元素を簡素化したNi-Nb-C組成の合金粉末を選定,購入した.今年度は当粉末を用いて射出成形による粉末成形体を作製し,基礎的な脱脂,焼結実験を行った.粉末成形体の焼結後の試料断面の写真より,表面から内部にかけて,気孔率,結晶粒径,炭化物の体積率の変化を計測した.実験当初,焼結体表面で異常な化合物層が生じる結果が得られたが,脱脂とその後の熱処理条件を工夫し,表面への不純物の混入を防ぐことで,化合物層のない試料を作製できるようになった.この試料を用いて焼結実験を行うことで,炭化物量の分布を計測したところ,焼結体表面での炭化物量の低下が観察できるようになった. 一方,組織形成シミュレーションについては,前年度,Ni-Nb-C組成の合金の熱力学データを組み込んだ二次元フェーズフィールドモデルを作成し,結晶粒成長および炭化物の析出,分解を計算できるようになった.今年度は固相だけでなく,さらに気相(気孔)も導入し,気孔または炭化物(NbC)が分散している状態では,結晶粒成長が抑えられることを数値計算で再現できるようにした.これを用いて,焼結体の表面の炭素濃度が低い場合の組織形成シミュレーションを行った.その結果,時間とともに焼結体内部から炭素が拡散し,表面付近では炭素濃度の低下によりNbCの分解が生じた.これにより,NbCによる粒界移動のピン止め効果が低下し,粒成長が進む過程を計算で示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験では,粉末成形体の脱脂,熱処理条件の確立に時間がかかってしまったが,焼結体における炭化物析出量が,内部と表面で異なるような試料が作製でき,基本的データが得られるようになった.シミュレーションでは,焼結体表面の炭化物の分解とそれによる結晶粒成長の促進が計算できるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
焼結実験において,試料表面付近で炭化物量が変化する基礎データが得られるようになったので,今後,焼結温度や時間を変えて実験を継続し,これらの条件が炭化物,結晶粒径等の分布に与える影響を調べる.シミュレーションについては,計算の効率化および精度向上を目的に,アルゴリズムの改良やプログラムの最適化を進める.
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