2021 Fiscal Year Annual Research Report
中世拠点寺院の蔵書と美術に基づく人と知のネットワーク解明
Project/Area Number |
20H00012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近本 謙介 名古屋大学, 人文学研究科, 教授
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | 寺院聖教 / 仏教美術 / 真福寺 / 金剛寺 / 称名寺 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症感染拡大の影響により、国内外の研究活動に多大な困難を伴ったが、繰越申請を行うことで感染症対策を講じつつ海外調査も実施し、計画を遂行した。 【拠点三寺院の基盤調査・研究】のうち、基盤調査1〔真福寺〕は完成済みの第一次奥書データをもとに、定期的に少人数での調査による原本との照合・改訂作業を進め、30~35函の作業を終えることができた。基盤調査2〔金剛寺〕は感染症の影響により、本年度も通常通りの定期的な調査は難しく、可能な範囲で実施することになった。主に、すでに作成済みの簡易目録をもとに、奥書集成の準備および禅恵を中心とする歴代学頭の書写活動について分析を進めた。基盤調査3〔称名寺〕は、すでに作成済みの称名寺聖教目録に基づき、釼阿・湛睿を中心とする歴代長老の書写活動と僧侶の動態のアーカーヴを作成し、真福寺聖教と関連する南都由来の唱導・神祇関係を中心とする宗教文献について、絵画・仏像等を加えた多角的な分析を進める作業を行った。 【宗教美術の観点からの分析】では、鳥羽院政期の宗教施策の画期としての性格を捉えるべく、典籍と美術の統合的研究を進めた。六道と往生をめぐる信仰史についての統合的研究を推進し、研究分担者による個別の研究成果は発表されたが、計画していた研究成果を集約した書籍の出版にまでは至らなかった。 【汎宗派性に基づく教学の観点からの分析】では、華厳経学と法相教学を中核に据えて実施した。前者については凝然と明恵の周辺をめぐる問題について成果報告を進めた。後者については玄奘をめぐる共同研究を推進し、その成果を書籍として出版した。また、【宗教美術の観点からの分析】と【汎宗派性に基づく教学の観点からの分析】は、【国際共同研究プロジェクト】および【東アジア写本学プロジェクト】とも深く結びつけながら推進し、ハーバード美術館蔵聖徳太子二歳像および像内納入品の国際共同研究を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年5月および10月に寺院所蔵資料の調査を実施し、令和4年3月までにそこで得られたデータの分析を行う予定であった。また令和3年9月には、ハーバード大学でのフォーラムを行う予定であった。しかし、それらは感染症感染拡大の影響で実施することができず、計画よりも遅れていると言わざるを得ない状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は感染症感染拡大の影響で延期した研究の推進を図り、各地での調査や研究発表を活性化させる。 【拠点三寺院の基盤調査・研究】のうち、基盤調査1〔真福寺〕は本年度と同様に、少人数での調査による原本との照合・改訂作業を継続する。基盤調査2〔金剛寺〕は調査の実施を計画しているが、仮にそれが叶わなくても、作成済みの簡易目録をもとにした奥書集成の準備および禅恵を中心とする学頭の書写活動について分析を進める。基盤調査3〔称名寺〕は、作成済みの称名寺聖教目録に基づき、歴代長老の書写活動と僧侶の動態アーカイヴを作成するとともに、真福寺聖教と関連する南都由来の宗教文献について多角的な分析を進める。 【宗教美術の観点からの分析】では、院政期のうち鳥羽院政期の宗教施策の画期としての性格を捉えるべく、典籍と美術の統合的研究と成果報告の場を立案する。また、六道と往生をめぐる信仰史についての統合的研究を継続して推進する。 【汎宗性に基づく教学の観点からの分析】では、華厳経学と法相教学を中核に据える。前者については凝然とその周辺をめぐる問題について調査を進め、後者については玄奘をめぐる共同研究の成果報告の次のステップを策定する。また【宗教美術の観点からの分析】と【汎宗性に基づく教学の観点からの分析】は、【国際共同研究プロジェクト】および【東アジア写本学プロジェクト】とも深く結びつけながら推進する。前者との関係においては、ハーバード美術館蔵聖徳太子二歳像および像内納入品の国際共同研究を推進中であり、成果報告のフォーラムおよび展示企画を進めるとともに、成果報告の出版を実現する。後者との関係においては、玄奘と関わる経典・聖教・美術を東アジアの視座から統合的にとらえる共同研究を進め、新たな成果に結びつけるためのフォーラムと出版を準備する。
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Research Products
(68 results)
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[Book] 宗教遺産テクスト学の創成2023
Author(s)
木俣元一、近本謙介編著, 宮治昭, 上枝いづみ, 影山悦子, 檜山智美, 濱田瑞美, 森雅秀, 大谷由香, 荒見泰史, 程永超, 横内裕人, 三好俊徳, 冨島義幸, 本井牧子、山本聡美、阿部泰郎、野呂靖, ほか全41名
Total Pages
728
Publisher
勉誠出版
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[Book] 中世禅の知2021
Author(s)
末木文美士, 榎本渉, 米田真理子, 亀山隆彦, 菊地大樹, 伊吹敦, 土屋太祐, 柳幹康, 石井修道, 原田正俊, 舘隆志, ダヴァン ディディエ, 古瀬珠水, 和田有希子, 山村信榮, ラポー ガエタン, 高柳さつき, 阿部泰郎, 三好俊徳, 高橋秀榮
Total Pages
334
Publisher
臨川書店
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[Book] 『扶桑略記』の研究2021
Author(s)
三好俊徳, 田中徳定, 佐藤愛弓, 久留島元, 嶋中佳輝, 城阪早紀, 加美甲太, 廣田收
Total Pages
291
Publisher
新典社
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