2021 Fiscal Year Annual Research Report
The underuse of common forest and the theory of anti-commons
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20H00057
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高村 学人 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80302785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片野 洋平 明治大学, 農学部, 専任准教授 (00407347)
松浦 俊也 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00575277)
山下 詠子 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (10733561)
古積 健三郎 中央大学, 法務研究科, 教授 (20252380)
林 雅秀 山形大学, 農学部, 准教授 (30353816)
宮本 麻子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50353876)
飯田 高 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (70345247)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アンチ・コモンズ / 領域団体 / 入会権 |
Outline of Annual Research Achievements |
科研費研究の中間成果として『入会林野と所有者不明土地問題』という書籍を刊行する計画をたてた。この書籍では、多数共有者型アンチ・コモンズという視点で入会林野の記名共有名義に伴う問題を分析した。具体的には、京都府南丹市美山町での入会集団への調査から登記名義の問題に入会集団がどのように対処しているか、を示し、農林業センサスの二次分析から共有名義であり離村失権しない場合、林業作業の実施率や外部への委託の実施率が低下することを、を実証した。また生産森林組合から認可地縁団体への移行については、領域団体化という視点で分析を行い、京都府から得られたデータを農業集落カードに接合し、生産森林組合を解散し、認可地縁団体へ移行しても森林の管理には低下がみられないことを明らかにすることができた。入会林野近代化法についてもその実績の低迷要因を都道府県へのアンケート調査から分析することができた。入会権に関する判例や学説の分析も行い、社団と総有とを識別する基準を示し、このことを前提にした入会権の条文改正案も書籍の中で示した。全ての原稿が完成し、2023年秋に刊行予定となっている。2021年9月には、国際コモンズ学会の森林コモンズに関する大会でパネル発表を本科研費の研究メンバーで行い、成果の国際発信もできた。中日本入会林野研究会や村落環境研究会でも発表を行った。入会林野コンサルタント会議でも2回発表を行い、入会林野整備を担当している都道府県職員に対して研究成果に基づく入会林野の今日的な状況につき説明を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
書籍のとりまとめができたので、科研費研究としては、順調に研究が進展したと言える。他方で書籍のための原稿執筆に時間が多く取られたので、もう一つの研究テーマである個人有林の零細分散錯圃型アンチ・コモンズの所有構造の解明や実態調査については、さほどの進展がみられなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
多数共有者型アンチコモンズ問題については、書籍に研究成果をとりまとめることができたので、今後は、もう一つの研究テーマである零細分散錯圃型アンチ・コモンズの所有構造の分析や実態調査に取り組んでいく。固定資産税の概要調書に記された地目毎の土地の筆数や面積に関するデータを時系列的に分析したり、森林GISを用いて零細分散錯圃の度合を測定するモデルの構築を目指していく。零細分散錯圃型所有構造の克服に取り組んでいる福井県の森林組合にも調査を行っていく。
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Research Products
(11 results)