2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Sociology of the Acceptance and Legitimation of Reward Inequality Based on the Cross-national Survey
Project/Area Number |
20H00084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有田 伸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30345061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永吉 希久子 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (50609782)
多喜 弘文 法政大学, 社会学部, 准教授 (20634033)
神林 博史 東北学院大学, 教養学部, 教授 (20344640)
吉田 崇 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80455774)
竹ノ下 弘久 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (10402231)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 社会階層 / 所得格差 / 労働市場 / ヴィネット調査 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,就業者間の報酬格差のうち,どのような格差がどの程度「妥当な格差」として人々に受容されているのか,またそのような格差の受容が,各社会の雇用・教育・生活保障システムの下で形成される「就業者の職業・性別等に対する想定」や「望ましい報酬配分に対する規範意識」等によってどのように説明されるのかを,独自に実施する国際比較社会調査のデータと既存の調査データの分析等を通じて検討し.それにより,日本社会における報酬格差がどのように維持・再生産されているのか,そのメカニズムを社会学の視角を生かして説明していくことを目指すものである. 全研究期間の初年度となる2020年度,この研究プロジェクトの柱となる「独自の国際比較調査の実施とそのデータ分析」に関しては,当初の計画を前倒しし,本年度中に2度の予備調査(ウェブ調査)を実施することができた.これらの内,第1の予備調査は,架空就業者の推定所得についての質問を柱とするものであり,この調査により,各就業者の推定所得と適正所得のかい離がどの程度存在し,またその規定要因が何であるのかの分析が可能となった.第2の予備調査には様々な職業従事者の適正所得に関する質問が多く含まれており,これにより,各職業従事者の適正所得と性別役割分業意識の関係を解明することが可能となった. このほか,関連分野の研究者を招へいしたオンライン研究会を適宜開催した.この研究会での活発な議論を通じて,今後の研究の方向性をさらに精緻化することができた.またオンラインの研究会を,当初の予定よりも頻繁に行い,共著論文の執筆などを予定通り進めることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の感染拡大によって当初計画していた研究計画の遂行に大きな困難が生じたものの,状況に合わせて研究計画を適宜見直し,組み立て直すことによって,結果的には当初計画していたものと同等の研究成果を得ることができた. 前述した予備調査(ウェブ調査)の実施はこの一例であり,これは当初計画していた国内外での研究成果発表や,海外からの研究者招へいを行い得なかったことによって生じた予算上の余裕を利用して可能となったものである.これらの予備調査により,2022年度に予定している本調査の質問項目を今後検討し,確定していくために大変有益なデータを得ることができた.またオンラインによる研究会開催に習熟したことにより,当初予定していたよりも多くの研究会を開催することができた.これにより,短期間のうちに2度に渡る予備調査の実施準備を効率的に行うことができ,また共著論文の執筆なども予定通り進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の最も重要な課題は,2022年度に実施予定の本調査の枠組みを固めることである.本調査の実施時までにCOVID-19の感染状況に大きな改善が見込めない可能性をも考慮した上で,当初の計画を柔軟に組み直しながら,そのような状況でも問題なく実施できる大規模国際比較調査の体制構築を試みていく.具体的には,調査会社の登録モニタに依拠しつつ,できる限り母集団分布に近いサンプル抽出を行うための方策を,適宜調査会社へのヒアリング等にも基づきながら検討していく.またこれと並行しつつ,昨年度に行った2つの予備調査のデータ分析にも基づきながら,本調査の研究課題を精緻化し,質問項目を確定させていく. このためにプロジェクトメンバーによるオンライン研究会を定期的に開催し,分析結果等の報告とそれに基づく議論を行っていく.さらに予備調査や他の調査データの分析に基づく成果の学会報告や論文投稿なども積極的に行っていく.このほか,国内外の研究者を招へいしての研究会も適宜行っていく予定である.
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Research Products
(9 results)