2020 Fiscal Year Annual Research Report
Moire pumping in van der Waals junctions of 2D materials
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20H00127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
町田 友樹 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00376633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
年吉 洋 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50282603)
越野 幹人 大阪大学, 理学研究科, 教授 (60361797)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 二次元マテリアル / グラフェン / 六方晶窒化ホウ素 / MEMS / ツイスト角度 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子層転写技術とMEMS技術を組み合わせることで、ファンデルワールスヘテロ構造においてツイスト角度の連続的な可変制御を目指した。具体的には、開発したMEMSは位置及び回転角制御において非常に優れた精度をもち、原子層位置の緻密な制御を可能とする。そこで積層構造を移動させたい部分で上下に分け、まず下部となる積層構造をSiO2/Si基板上に作製したのち、回転部となる上部の層状物質をMEMSの駆動部に転写する。MEMSの正確な位置制御によって上部の積層構造を移動及び回転させることを試みている。ここで鍵となるの技術は原子層間ツイスト角度の精密な制御である。そこでより高精度のツイスト角度制御を可能とする新規原子層転写技術を構築してきた。また、現在最も注目されている現象は魔法角で積層された2層グラフェン超伝導の発現であるが、それ以外にも多彩な物性が期待されている。特に、グラフェン/h-BNモアレ超格子およびh-BN/グラフェン/h-BN二重モアレ超格子は超格子ポテンシャル変調により特異なバンド構造を示す。電気伝導測定およびサイクロトロン共鳴吸収測定を駆使することで、バンド構造に関する実験的な情報を得ることに成功した。この手法は様々な対象に対して展開できるため、拡張性が高い。さらに必要な要素技術の構築の位置づけで、高精度のツイスト角度制御を可能とする新規原子層転写技術を構築した。原子層間ツイスト角度の精密な制御は本研究で鍵となるの技術であり、その精度向上は本研究分野全体にとっても重要な技術であり価値が高い。その発展としてポリマーからポリマーへ原子層を移動させる技術を構築した。この技術はARPESによるバンド構造決定の実験で必要な素子構造を実現するために必須であり、拡張性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の推進に必要な要素技術として、原子層ツイスト角度の精密制御、原子層の移動技術、ツイスト角度の可変制御技術の基礎を着実に準備しつつある。これらの技術を融合して、原子層ツイスト角度を制御して新規物性の発現・制御を実現していくための基盤技術が構築されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
グラフェン等の二次元層状物質をファンデルワールス積層すると、格子構造の干渉によりモアレ超格子ポテンシャルが生じる。原子層同士を動的にスライドさせることで、モアレポテンシャルの位置が鋭敏に変化し、ディラックフェルミオンを輸送することが可能となると期待される。この「原子層モアレ電荷ポンプ」の概念を実現すべく、二次元層状物質と機械的な機構とを融合した、動的なファンデルワールスヘテロ構造を実現することを目指す。具体的には、MEMSと二次元物質とを組み合わせることにより、積層角度θ及び変位を精密に制御しながら、in situで伝導特性を測定できる機構を作製する。これにより機械的な動きが電子輸送へと変換されるダイナミズムを二次元物質において世界で初めて観測する。さらには積層構造内のθを精密に制御できるというこの機構の特徴を生かし、あらゆる二次元物質の組み合わせにおいてθの変化による物性の変調及び新規物性の観測を狙う。モアレポンプの観測に向けた原子層操作技術の要素技術構築として、新規ポリマーを利用した転写技術の構築、原子層とポリマー間の粘着力の定量的解析、液相転写技術の開発も推進する。
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