2020 Fiscal Year Annual Research Report
Isotope dependences of nuclear charge distributions and neutron radius by electron scattering
Project/Area Number |
20H00147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塚田 暁 京都大学, 化学研究所, 准教授 (10422073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 哲哉 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 専任技師 (50360516)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電子散乱 / 原子核 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は短寿命不安定核を含むXe同位体を標的とし、電子散乱手法による原子核電荷分布測定の実施、及び中性子分布半径決定の実験手法を確立することを目的とする。陽子および中性子の分布は原子核構造研究において最も基本的な物理量のひとつである、我々が開発した標的生成法(SCRIT法)によって、これまで不可能とされてきた短寿命不安定核の電荷分布測定が現実のものとなりつつある。また同手法は、これまで分離・生成の難しかった安定核(例えばXe同位体)も標的にできる可能性がある。このような希少な原子核をも研究対象に広げる上で本研究は重要である。本年度は前方検出器及びルミノシティモニタ前面検出器の開発・運用試験を行った。これによって異なる電子ビームエネルギーにおけるデータを定量的に精度良く接続することが可能となる。これは原子核電荷分布の決定精度を飛躍的に上昇させることが可能となる。また、当初予定では想定していなかったバックグランド事象がSCRIT装置近辺で発生していることが分かった。SCRIT装置に印加する高電圧に起因するX線および電磁波放出と判明したが、実験施設の心臓部であるSCRIT装置の動作上、また標的イオンの高効率輸送のためにも高電圧印加は避けることができない。最終的には近傍の検出器の電磁シールドを大幅に強化することと、散乱電子軌道上にスペクトロメータ分解能を悪化させないギリギリの厚さ(10um)のタンタル箔を設置することでX線のみを効率よく落とすことに成功した。今後はXeイオン源の開発を進め、まずはXe安定同位体の電荷分布測定へと進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前方検出器及びルミノシティモニタ前面検出器の開発・運用試験を行った。また研究途中で判明した予期せぬバックグランド事象についても解決策を見出すことに成功し、概ね順調に進んでいると考えられる。イオン源の開発に関しては、時間的な制限もあり完成は次年度以降への持ち越しとなったが、計画は余裕をもって立てているため、本実験遂行上問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はXe同位体標的の電荷分布測定に向けたイオン源開発を進め、実行する予定である。 また、中性子半径の測定に関しては核構造の理論計算も進める必要があるため、核理論研究者との議論を進め、必要に応じて研究会等を開催する予定である。
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Research Products
(1 results)