2020 Fiscal Year Annual Research Report
Computing electromagnetic and gravitational-wave signals from neutron star mergers
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20H00158
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 大 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80252576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久徳 浩太郎 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30757125)
関口 雄一郎 東邦大学, 理学部, 准教授 (50531779)
仏坂 健太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50867033)
川口 恭平 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (60822210)
田中 雅臣 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70586429)
井岡 邦仁 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80402759)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 重力波 / 電磁波対応天体 / マルチメッセンジャー天文学 / 中性子星 / 中性子星連星 / キロノバ / 元素合成 / 突発的天体 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の研究を進め、研究成果を論文として発表した。1:質量の小さいブラックホールと中性子星の合体に対する数値相対論計算を行い、合体時の物質放出量が極めて少ないことと誕生する降着円盤の質量がブラックホールの質量にほとんど依存しないことを発見した。2:中性子星連星の合体後に誕生すると考えられる大質量の中性子星あるいはブラックホールと降着円盤からなる系に対する輻射粘性流体計算を系統的に行なった。その結果、粘性過程が質量放出の主過程である場合には、中心天体によらず放出される物質の電子濃度が0.3程度になること、大質量中性子星が存在する場合には、合計で0.1太陽質量ほどの物質が飛び散ること、などを明らかにした。3:降着円盤から粘性過程を経て飛び散る物質内で起きる元素合成では、質量数が50から130程度までの元素が主に合成されることを明らかにした。4:数値相対論による物質放出過程の計算結果と重元素合成計算の結果を取り入れながら、合体後の放出物質中での輻射輸送計算を行い、キロノバの光度曲線とスペクトルを系統的に導出した。5:初期質量が45--65太陽質量の回転する大質量星の重力崩壊に対する一般相対論的輻射流体数値シミュレーションを実行し、ブラックホールが誕生する直前に高速度のアウトフローが発生し、非等方的な超新星爆発が起きることを発見した。6:新たに輻射磁気流体数値シミュレーションコードを開発し、連星中性子星が合体したのちに誕生しうる大質量中性子星からの質量放出過程に対する長時間シミュレーションを初めて実行した。これら以外にも2020年度に重力波観測グループにより発表された連星ブラックホールの合体現象(GW190521)が、ブラックホールと降着円盤からなる系によっても説明可能なことを示唆する論文を発表した。また中性子星連星が合体前に電磁波を放射しうる可能性を調べ論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画が順調に進んだのに加えて、新たな研究の方向性をいくつか開発することができた。例えば、連星ブラックホールからの重力波と思われるものが、別の現象で説明可能なことを示したり、また大質量星の重力崩壊現象が新たな重力波源として有望なことを示したりした。また新たな数値相対論コード(輻射電磁流体力学コード)やキロノバの光度曲線を計算するためのコードを構築した点も当初の予想以上の成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り順調に研究を進めて行きたい。ただし、2020年度は招待講演の予定されていた国際研究会がCOVID19のせいでことごとく中止になってしまったので、今後は研究成果のアピールの仕方を考える必要がある。
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