2022 Fiscal Year Annual Research Report
ランタノイドイオン結晶のレーザー操作によるニュートリノ質量分光法の開発研究
Project/Area Number |
20H00161
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉見 彰洋 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (40333314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 太彦 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 客員研究員 (70108447)
黒澤 俊介 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 特任准教授 (80613637)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニュートリノ / コヒーレンス / ランタノイド結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ニュートリノ質量分光に利用予定の YLF 結晶の屈折率測定の基礎実験を行った。量子コヒーレンスを利用した原子遷移レート増幅実験を行う際、結晶にドープされたErイオンの3準位系に2本のレーザーを入射し、1本の放射信号を計測することになる。この時3種類の遷移波長についての屈折率分散効果を考慮しなければならないので、結晶の屈折率測定が必要になる。屈折率測定のため、CWレーザー光が結晶を透過する際の干渉効果をレーザー軸に垂直な回転軸で結晶を回転させながら測定し、回転角度に対する干渉スペクトルを測定した。この測定を4種類の(400 ~ 1500 nmの範囲で)異なる波長をもつレーザーを用いて行って系統的に行った。この手法により、YLF結晶の屈折率を10^-5 の精度で決定できる用意ができた。また、昨年度行った Er:YLF 結晶における Er イオンの 4f 電子スピンのコヒーレンス研究をより発展させるために、アイソトープ濃縮した Li-7 を用いて Er:YLF 結晶開発を行った。濃縮度 99.96 % のリチウムを用いた水酸化リチウム粉末から、フッ酸処理を行ってフッ化リチウムを生成して、最終的にマイクロ引き下げ法によって Er:YLF 結晶を作製することに成功した(Er濃度 0.01 % と 0.05 %, サイズ 1mm x 2xmm x 0.7mm)。これで、現在スピン系のコヒーレンス幅を決めている Li-6 と Li-7 の各核スピンの非一様空間分布の影響を大幅に抑制する準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コヒーレンス生成実験の準備が整いつつあること、及びスピンコヒーレンス測定実験に重要なアイソトープ濃縮結晶の作製が行えたので。
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Strategy for Future Research Activity |
Er:YLF 結晶のコヒーレンス生成実験に着手する。また、アイソトープ濃縮した Er:7LiYF4 結晶の電子スピン系のコヒーレンスに関する情報(電子スピン共鳴幅等)を確かめる。
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