2020 Fiscal Year Annual Research Report
Nitrogen Isotope as a Probe for Deep Space Exploration
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20H00190
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
橋爪 光 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (90252577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 千博 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (10230509)
藤谷 渉 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (20755615)
石田 章純 東北大学, 理学研究科, 助教 (10633638)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 隕石 / 有機物 / アンモニア / イメージング分析 / CRDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、初期太陽系における太陽系外惑星領域から地球に向けた揮発性元素の物質輸送を追跡するため、代表的な揮発性元素の一つである窒素同位体に注目した多面的取組を進める。近年の研究の進展により、始原隕石の一部は、彗星同様に、小惑星帯よりはるかに太陽から遠い領域で形成したことが示唆され、彗星と隕石の区別が不明瞭になりつつある。本研究では、始原隕石で見られる隕石種毎に著しく異なる窒素同位体組成の中から、隕石形成場の温度環境を反映した変動情報を抽出するための取り組みを進める。更に、隕石と彗星の代表的な窒素含有物質の起源的関係を同位体組成の比較から明らかにする。 一つ目の取組として、隕石有機物の多元素同位体イメージング手法を駆使し、微惑星形成前の始原同位体情報を読み取る。多元素同位体組成の解析から温度に依存した同位体比変動を解明する。本年度、様々な熱変成度を持つ始原隕石の分析準備を進めた。目標達成に向け、二次イオン質量分析計によるイメージング分析における窒素・水素同時分析技法の開発を本年度進めた。従来は不可能だった同時分析が実現すると、1ミクロン以下の空間分解能で正確に窒素と水素同位体比異常の間の相関を評価することが出来る。 二つ目の取組として、宇宙機に搭載可能な窒素同位体その場分析装置の基礎開発を進める。冷たい太陽系を代表する窒素含有固体物質であるアンモニアの同位体組成を測定するためのCRDS分析装置の試作と原理実証を進める。本年度においては、宇宙探査機に搭載することを想定した、軽量コンパクトかつロバストなCRDSモデルの試作を行い、また、スペクトルアナライザーを用い、アンモニア分子、特に、マイナー安定同位体を含む15NH3 やNH2Dの吸収線の測定を進めて、吸収波長と吸収強度のリストを整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染症による影響に伴い、一部分析装置の導入時期に遅延はあったが、研究目標達成に向けた取り組み自体については、予定した工程に従い、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
一つ目の取組である、隕石有機物の多元素同位体イメージング手法に関連しては、これまでに炭化水素イオンと炭化窒素イオンの二次イオンを同時分析することにより目的を達成する目途を立てることが出来た。しかし、その同位体分析精度においてはまだ改善の余地がある。今後、精度向上に向けた技法改善と精度評価を進め、技法について、論文を公表することを目指す。 二つ目の取組である、宇宙機に搭載可能な軽量コンパクトかつロバストなCRDS同位体分析装置の開発については、先行開発を進めた水分子の水素同位体分析の実証が完了し、論文を公表することが出来た。今後、酸素同位体について同様の作業を行い、続いて、アンモニア同位体分析に関する作業に進む。今後、アンモニアに関する前処理ラインの整備などを進める。
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Research Products
(8 results)