2020 Fiscal Year Annual Research Report
電子線を用いた水素の高圧その場観察:地球深部の水循環の解明
Project/Area Number |
20H00198
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三宅 亮 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10324609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
治田 充貴 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00711574)
野村 龍一 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (40734570)
大村 訓史 広島工業大学, 工学部, 准教授 (90729352)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 高圧その場観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高圧高温その場電子顕微鏡技術を新たに開発し、さらに電子線を用いた結晶構造中の水素位置の決定法を確立することで、地球深部条件下でFeOOH/FeO2+H2のどちらが安定なのかを決定することを目的としている。 2020年度は、まず電子顕微鏡内で高圧力を発生させるための試料および高圧力発生機構の加工を、集束イオンビーム装置を用いて開始した。様々な試料形状、発生機構の形状をためすことにより、最適な形状の絞り込みを行っている。 また新たに購入したピコインデントホルダーの立ち上げを行い、試料形状にも依存するが本研究において必要となる荷重が達成できることを確認した。つづいて、Fe、Si、MgOの薄膜試料を用いて、透過型電子顕微鏡内でその場圧縮実験を荷重制御により行った。実験は、1000 μNまでの荷重で行った。電子回折図形を、圧縮実験の前後と、圧縮実験中に取得し、実験終了後に解析を行い、得られた圧縮率からの応力(圧力)の推定を行った。その結果、圧縮方向[001]では、(001)の面間隔が縮んでいることがわかった。一方、圧縮方向と垂直な方向である [110]方向は、わずかに伸びているがないことがわかった。電子線入射方向の変化については、今回は情報を得ることはできなかった。Siに対する荷重500 μNの実験では、圧縮方向に約7 GPaの応力がかかっていると推定できた。さらに電子顕微鏡内でナノ電子プローブを走査することにより電子回折パターンの空間変化を解析する手法の構築を行い、局所領域の歪みについて計測することに成功した。 さらに、FeOOH/FeO2を、電子線回折強度の違いによって識別が可能かどうかを、計算実験により探索を行い、例えば [001]方向から電子線を入射した場合の電子回折図形に、有意に識別が期待できる程度の違いが見られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題での最重要な装置であるピコインデントホルダーの導入が12月と遅かったため、実際の加圧実験の開始が遅れた。導入するまでの期間に他機関で予察実験を行う予定だったが、コロナ禍のため滞った。また採択された予算の都合で加熱機構の導入も未定となり、当初の予定よりもやや遅れていると判断した。 その間に行った、試料作製方法の検討や観察、分析に必要な技術・ソフト開発、静的な予察実験などは計画通り進んでいる。また、ピコインデントホルダー導入後の加圧実験は順調にはじめており、成果が出始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新規導入したピコインデントホルダーを用いた加圧実験を推進していく。それとともに、圧力推定方法や観察、分析技術を発展させていくことにより、その場観察、分析を可能とするための技術開発もあわせて推進していく。 また、電子線回折図形によってFeOOH/FeO2を区別するための計算機実験をすすめ、また電子エネルギー損失分光法によって、FeやOの酸化数に伴うスペクトル形状やスペクトル強度の違いから両者を識別する。そのための、予察実験や第一原理計算によるスペクトルの違いについても推進していく。 一方、研究を遂行する上で重要な一つである高温加熱機構が、本研究費のみでは組み込めない可能性が高い。そのため、他の研究費を申請するなどして、実現を考えている。また、高圧力その場電子エネルギー損失分光は、当初予定していた装置では達成できない可能性がでてきたため、他の装置を使用することを検討している。
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Research Products
(13 results)