2021 Fiscal Year Annual Research Report
Search for organic quantum dot emission using molecular-control mold technology
Project/Area Number |
20H00232
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤掛 英夫 東北大学, 工学研究科, 教授 (20643331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石鍋 隆宏 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30361132)
柴田 陽生 東北大学, 工学研究科, 助教 (70771880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有機量子ドット / 有機蛍光色素単結晶 / 分子制御モールド / 表面濡れ性 / 高精度塗布法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ディスプレイ分野では光利用効率や色純度を向上させるため、中心波長や波長帯域を変えられる材料が求められている。そのために既に開発された無機材料の量子ドット蛍光体は、発光効率改善、寿命向上、カドミウムフリーなどの課題を抱える。そこで本研究では、分子設計や発光波長の自由度が大きな有機蛍光色素の微結晶サイズを任意のナノオーダーに規定することで、量子ドット効果に基づく発光現象を確認することを目的とした。ここでは、有機蛍光色素の溶液を基板全体に一様に塗布して、基板上の一定サイズの微小穴(分子制御モールド)に満たし、溶媒を揮発させることで、微小な独立単結晶を成長させることを目指した。初年度は、溶媒揮発により色素が結晶化する溶媒や色素材料を選定するとともに、半導体用の超高精度微細加工技術(リソグラフィ)を用いて石英基板に数百nmスケールの穴構造(直径百nm以上)を形成した。2年目は、その上に色素溶液を塗布して微結晶形成を試みた。実験の結果、基板上の微結晶が穴以外の部分にも形成されて、不均一な結晶形態となった。そこで、溶液塗布前に微小穴基板にスピンコート法により、撥水性フッ素系樹脂(サイトップ)を薄く塗布したが、微小穴の有無に関わりなく微結晶が散在した。これはフッ素樹脂が穴表面にまで塗布されたためである。この結果は、微小サイズ領域での溶液凝集は濡れ性で支配されることを示すもので、穴部と穴部以外(平坦部)で濡れ性を違える必要があることが示唆された。そこで、平坦部のみ濡れ性を低くするため、別の基板に濡れ性の低い自己組織化単分子膜(HMDS)を形成して、微小穴基板に押し付けて摩擦することでその転写を試みたが、平坦部への転写は困難であった。そのため今後、微小穴の作製工程で濡れ性パターンを同時形成する必要があると思われ、その予備検討として、穴作製工程に応用可能な種々の材料の表面濡れ性を測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年の目標は、モールドの微小穴の中で、ナノサイズの蛍光色素微結晶を成長させることであったが、ブレードコートによる蛍光色素溶液の塗布では、蛍光色素溶液が不均一に凝集して、均一サイズの微結晶が得られないことが分かった。微小サイズの溶液凝集では、穴構造よりも表面濡れ性が支配的であることが判明しため、濡れ性の低いサイトップの塗布や、自己組織化単分子膜の摩擦転写を行ったが、微小な濡れ性パターンの形成は困難であった。そのため、濡れパターンを微小穴とともに同時に基板に作り込むことが必要と思われたため、その工程に応用可能な有機・無機材料の濡れ性を評価して、それに適した材料を見出した。今後、それらの材料の濡れ性パターンの活用により、溶液凝集を的確に制御できて、ナノサイズの色素微結晶の形成が可能になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は、微小穴の作製工程で、表面濡れ性の低いパターンを同時に作り込むため、その工程に応用可能な様々な材料の濡れ性を評価して、応用可能な材料を見出した。最終年度は、その材料を用いて、基板平坦部に濡れ性が低いパターンを形成する。すなわち、微小穴と濡れ性パターンが形成された基板に、蛍光色素溶液を一様に塗布して、直径がサブミクロンに規定された微小穴で、ナノオーダーの蛍光体微結晶を独立成長させることを試みる。この場合、微小穴以外の平坦部は、濡れ性が低い有機材料または無機材料を用いてリソグラフィで構成するとともに、穴表面は濡れ性の高い石英とする。また、微小穴に溶液が付着しやすくなるように、穴の深さも増やすことを検討する。その一方、高精度な塗布法として、微小溶液滴を均一に噴霧できる静電スプレイ法や、溶液塗布の厚みを的確に制御できるブレードコート法を用いる予定である。
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