2020 Fiscal Year Annual Research Report
Magnetic nanoparticle imaging using ultrasound vibration
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20H00254
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石原 康利 明治大学, 理工学部, 専任教授 (00377219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / 超音波 / 画像診断 / 画像再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)粒子振動技術の検討 超音波振動子から発生した超音波音響放射圧を利用して、生体深部に分布した磁性ナノ粒子を正確に振動させられるか、また、磁性ナノ粒子の存在位置の検出が可能かを検証するために、集束超音波の焦点領域に配置された酸化鉄粒子の変位、および、磁性ナノ粒子から反射される超音波分布を解析可能な有限要素モデルを構築した。その結果、照射される超音波の波長に比べて粒子径が小さい場合でも、ナノ粒子を振動させられる可能性のあること、および、粒子の位置を反映した情報を取得できる可能性のあることが示された。しかし、ナノ粒子を空間に分布させた状態を再現するための3次元有限要素モデルにおいて、要素メッシュの設定条件に依存して解析結果が異なることから、今後、超音波波長と磁性ナノ粒子径との関係に応じた最適な設定条件を明らかにする必要がある。一方、生体を摸擬した寒天内に分散させた酸化鉄粒子の振動を超音波レシーバによって評価するための計測システムを構築した。その結果、集束超音波を照射することで生じる粒子変位に対応した超音波反射波は観測可能となったものの、繰り返し実験を行えなかったことから、今後、再現性を確認するための評価実験を行う必要がある。 (2)画像再構成技術の検討 傾斜磁場中の磁性ナノ粒子に超音波音響放射圧を照射して生じる磁化信号から位置を識別するには、位置情報を反映した特徴量を見出す必要がある。磁化信号を特異値分解して得られる直交基底に基づいて、磁性ナノ粒子の位置を識別できる可能性を数値解析によって検証し、磁性ナノ粒子の分布を画像化できることを示した。さらに、このような特徴量をニューラルネットワークに基づいて解析することで、位置情報を高い空間分解能で識別できるかを検証する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症拡大防止の観点から大学への入構が制限されたこと、および、その対策を種々講じる必要が生じたことに起因して、研究代表者・研究協力者が実験システム・数値解析システムを用いて作業を行う時間が大幅に短縮された。これに伴い、特にシステムの構築、および、再現性評価のための研究時間を十分に確保することができなかったことから、『研究実績の概要』で記述した課題が残ることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)粒子振動技術の検討 超音波音響放射圧を利用して生体深部に分布した磁性ナノ粒子を正確に振動させられるか、また、磁性ナノ粒子分布の検出が可能かを引き続き検証する。2021年度は、安定解が得られる3次元有限要素モデルの解析条件を明確にし、音響放射圧とナノ粒子の変位、および、磁性ナノ粒子から反射される超音波強度との関係を評価する。この際に、必要となる要素メッシュ数に依存した計算環境の制約を受ける場合には、必要なナノ粒子の変位が得られる粒子濃度・凝集率を定量的に解析可能なモデルに改良する。また、実機実験における超音波音響放射圧による粒子変位の再現性を確認するとともに、超音波反射波に基づいて磁性ナノ粒子分布を推定可能な磁性ナノ粒子の濃度・凝集率を明らかにする。なお、磁性ナノ粒子からの超音波反射波のみでは粒子変位・位置情報の検出が困難な場合には、超音波ドップラ情報に基づいて磁性ナノ粒子の変位・位置情報を識別するための有限要素モデルと実機実験システムを並行して検討する。 (2)画像再構成技術の検討 磁性ナノ粒子に超音波音響放射圧を照射して生じる磁化信号に特異値分解を施すことで得られる直交基底から、磁性ナノ粒子分布を画像化できる可能性が示されたが、さらに高分解能に位置情報を識別するために有効な直交基底に基づく特異値ベクトル成分を明らかにする。また、それらの特異値ベクトルをニューラルネットワークに入力することで、空間分解能の改善を目指した新たな画像再構成法への展開を図る。 (3)データ収集技術の検討 新型コロナ感染症拡大防止対策等による研究計画の遅れから、2020年度に着手できなかった集束超音波の焦点領域を走査した新たな画像再構成法の検討に取り組むために、システムを構成する超音波トランスデューサ等の要素技術の評価を開始する。
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