2022 Fiscal Year Annual Research Report
Magnetic nanoparticle imaging using ultrasound vibration
Project/Area Number |
20H00254
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石原 康利 明治大学, 理工学部, 専任教授 (00377219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / MPI / 画像診断 / 画像再構成 / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)粒子振動技術の検討 超音波音響放射圧による磁性ナノ粒子の振動変位計測の精度・再現性を改善するために、水槽内に配置したトランスデューサとファントムの固定具、および、システム制御法を改良した。寒天ファントム(φ60 mm、高さ40 mm)に集束超音波(焦点音圧:2.6 MPa)を照射した結果、焦点領域に約3 μmの振動変位を確認したが、繰り返し計測における不確かさは1 μm 程度であった。また、有限要素法による音響―構造連成過渡解析モデルを構築し、焦点領域における振動変位を解析した結果、実験値と同等の1.1 μmを示したが、数値解析で有効とされる複数要素の平均値は約20 nmであり、解析モデルの妥当性検証を継続する必要がある。 (2)画像再構成技術の検討 粒子分布の超音波画像化の可能性を実験的に評価した。寒天ファントム内に酸化鉄粒子を分散した場合には、粒子濃度を反映した超音波画像輝度変化とともに、ファントムの加振に応じた超音波反射波の周波数シフト、ピーク周波数におけるスペクトル振幅変化が示された。磁性ナノ粒子を分散した場合には、超音波画像輝度変化から磁性ナノ粒子を反映した情報は得られなかったが、ファントムの加振による画像輝度の増加が認められた。ただし、加振効果を定量評価するには、ファントム内部の気泡を抑制する必要がある。 (3)データ収集技術の検討 音響放射圧によって振動した磁性ナノ粒子から磁化信号を検出するために、磁場ゼロ線状分布(field free line:FFL)を生成する磁場発生装置(傾斜磁場強度3 T/m、有効領域±15 mm)を設計・試作した。最終的にはFFLに直交する方向から集束超音波トランスデューサによる焦点状の超音波を照射して磁化信号を検出するが、必要な振動変位を評価するための交番磁場コイル(φ40 mm、±20 mT)を設計・試作し、結合試験に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度からの新型コロナ感染症拡大防止対策の影響により当初の研究計画より遅れていたが、最終システムの構築に必要な個々の要素技術の検討を並行に行うことで、徐々に計画に沿った研究遂行となりつつある。しかし、加振に伴う振動変位の計測再現性が不十分であることから、不確かさ要因の検討に時間を要している。また、統合的・相互的なシステム検証、および、システム制御に関するソフトウェア開発には遅れが生じていることから、これらの遅れを回復するための効率的なソフトウェア開発に注力する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)粒子振動技術の検討 これまでに、水槽内に配置した寒天ファントムに音響放射圧を集束照射するとともに、超音波反射波の位相情報から変位を検出するシステムを構築し、磁性ナノ粒子を振動させられることを確認した。この基本システムを用いて、集束超音波の照射条件とファントムの形状・大きさ・固定方法との関係を実験的に評価し、振動変位の再現性に影響を及ぼす要因を明らかにする。また、有限要素法に基づく音響-構造連成過渡解析モデルにより、寒天ファントム内部の音場と振動変位の数値解析を可能としたが、現時点では振動変位に実験結果との差異が認められるため、解析モデルにおける境界条件と実験環境との整合性や物性値等を見直し、実験と数値解析における信頼性向上を図る。 これらの後、臨床システムを想定した水槽外での実験を可能とするために、大口径集束超音波トランスデューサを導入したシステム構築を進める。特に、トランスデューサをファントム(被検体)とカップリングさせるための水袋の形状(変形)が重要であるため、トランスデューサ・水袋・磁場分布発生装置・磁化信号検出プローブとの配置を含めたシステム設計・試作を進める。 (2)データ収集技術と画像再構成技術の検討 磁性ナノ粒子から得られる磁化信号が当初の予想よりも小さい可能性が懸念されるため、高感度な信号収集が期待されるFFLに基づく画像再構成法を検討する。FFLに必要な条件を明らかにし、大口径集束超音波トランスデューサに適合したFFLを形成する磁場発生装置と磁化信号検出プローブを用いたデータ収集・画像再構成を試みる。 また、超音波反射波・ドップラ波から粒子分布の情報を定量的に画像化するための実験評価を継続し、マルチモダリティシステムの実現性を検討する。特に、粒子に音響放射圧を照射することで生じるキャビテーションの情報を活かした磁性ナノ粒子分布の可視化の可能性を確認する。
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