Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
民家史研究は、現存する社会的階層の高い民家をもとに構築されてきた。現存しない竪穴建物や掘立柱建物、社会的中下層の民家については、「遺構」から窺うしかなかったが、本研究では、被災埋没建物の検討により、それらの建物の実態を解明しようとするものである。中下層の民家の存否を明らかにし、これらによって民家史を再構築することを目的とする。災害埋没民家についての考古学的知見を総合し、そこに民家史構築という大きな目標を掲げていることは極めて高く評価出来る。従来の民家研究が明らかにできてこなかった、中流農民等の民家の実態を明らかにし得る点が優れている。従来の日本建築史のいくつかの部分を修正することや、新たな章の付加にもつながる成果が期待できる。