2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H00279
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大西 直文 東北大学, 工学研究科, 教授 (20333859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 慎太郎 東北大学, 工学研究科, 助教 (60869650)
蟹江 澄志 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60302767)
野々村 拓 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60547967)
松野 隆 鳥取大学, 工学研究科, 講師 (90432608)
小室 淳史 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (70733137)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 流体制御 / プラズマアクチュエータ / 誘電体バリア放電 / 大気圧プラズマ / プリンテッドエレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
以前より取り組んでいた小型化・多電極化によるプラズマアクチュエータ(PA)の低電圧化に引き続き取り組み,多電極化した PA の段を追うごとに加速されていることが PIV(Particle Image Velocimetry)で確認でき,期待通りの性能が 1.5 kV 程度の直流電圧と高速スイッチだけで得られた. 次に,印刷電極によって小型化・多電極化した PA の性能評価を行った.銀ナノインクを用いて電極をインクジェット印刷した後,銅メッキすることで,従来の銅テープを用いた電極と同程度の抵抗値に抑えつつ,電極厚さが小さく加工精度の高い電極を誘電体上に製作することができた.性能評価は PIV による流速の測定,および放電による電磁ノイズの影響を受けにくい振り子式推力計による推力計測を行った.いずれの結果も従来の銅テープ電極を用いた性能に劣るどころか,むしろ性能が向上する結果を得た.走査電子顕微鏡で電極端を観察したところ,印刷電極には印刷時の濡れ性に起因した湾曲構造があり,これと電極厚さが小さくなったことが放電特性を向上させ,結果として気流生成能力も向上させた可能性を示唆している. また,表面電荷を計測するために,ポッケルス素子を用いた表面電位センサの開発を行った.その結果,一般的な表面バリア放電における電位の時空間変化を計測することに成功し,印加する電圧の正負の極性の違いにより誘電体表面の帯電分布に変化が生じることが分かった. さらに,鋸歯電極にした場合のプラズマアクチュエータの誘起速度をシングルピクセル PIV 技術を利用して計測した.鋸歯電極にした場合,誘起速度が安定して高くなることを確認した.またプラズマアクチュエータのバースト駆動による誘起流れを PIV で測定し,パラメータによって流れ場の分類ができることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,初年度に小型化・多電極化による低電圧プラズマアクチュエータの実証を行い,性能評価を行う予定としていたが,本研究課題以前の取り組みにより,その目標は早い時期に達成することができた.印刷電極による製作については,そもそも安定な大気圧放電が得られるかもわからなかったが,従来手法よりも性能が向上するなど,期待以上の結果を得ることができており,インクジェット印刷以外の電極印刷という次のステージに行くための準備が整っている.また,表面電荷観察についても,極性の違いによる帯電分布の変化が可視化できるなど,期待以上の成果を得られており,表面電荷と誘起気流構造との関係性が明らかになりつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,プリンテッドエレクトロニクス技術を用いて小型多電極化した素子を製作し,その性能評価を行う.すでに前年度で実績を積んだ銀ナノインクを用いたインクジェット印刷に加えて,銅ナノインクを用いた場合やそのスクリーン印刷による素子についても試験する.また,マテリアルプリンタを用いて誘電体を含めた三次元印刷を行うことで,誘電体厚さに空間分布を持たせたより柔軟な空間電荷制御を目指す.形状や材質の候補が複数あるが,実際に放電実験を行った場合に予期しない現象や動作が生ずることも考えられるため,複数のモデルについて製作を進める.同時に小型電源についても検討を進め,バッテリー駆動を前提とした設計を行う. また,前年度の成果により表面電位センサの開発に成功したので,今後はプラズマ側のパラメータを変えながら表面電位を制御する方法について検討を進める.まずは電極に印加する電圧波形を変化させ,発生する放電電位分布にどのような変化が生じるかを観察する.さらに,プラズマアクチュエータのバースト駆動の渦流れを詳細に解析して,渦流れのモデル化を行う.
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Research Products
(13 results)