2020 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of innovative energetic materials and precise control of ignition and burning based on ultra high speed reaction theory
Project/Area Number |
20H00287
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
三宅 淳巳 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 教授 (60174140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊里 友一朗 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 助教 (90794016)
塩田 謙人 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 特任教員(助教) (30827837)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エネルギー物質 / 爆発 / 発火 / 爆轟 / 詳細反応モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,申請者らのグループが実施してきた凝縮相エネルギー物質の爆発燃焼現象に関する研究を深化・推進し,実験による測定値を用いることなく純理論的に高速反応現象を再現し得る詳細反応モデリング技術の構築により高速反応の学理を構築し,世界初となるイオン液体系エネルギー物質(EILs)の創製に挑戦するものである。 本研究では,EILsのイオン性に着目し,電解着火の適用性について検討を開始した。そこで,第一に達成すべき目標として,[1]電気化学反応を取り込んだ液相詳細反応モデル構築および [2]構築した詳細反応モデルを基にEILsの効率的な着火方法を提案すること,を掲げている。 電解着火は電気的なエネルギー印加によって,任意のタイミングで燃焼を誘起させるものである。これを実現させるために,高エネルギー物質アンモニウムジニトラミドを基材としたEILsについて,電気化学特性の把握などの基礎的検討を行った後に,電解着火を試みた。その結果,あるEILs組成は所定の電圧印加によって電解着火できることを見出した。さらに本研究で導入した高速可視化装置を用いて,この着火挙動を精密測定することで,電解着火機構を推定した。当該機構を基に,既存の熱分解反応機構モデルを組み合わせて,電解着火に最適な混合物について必要条件の整理を行った。2021年度は,より高度な着火制御に向けて,混合物探索および電解着火条件の精査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により実験的検討の進捗に影響を受けたが,研究は概ね順調に進捗したと判断する。その理由として,難着火性であるEILsを電気的エネルギー印加によって着火させるに至ったことが挙げられる。さらに導入した高速可視化装置などにより,その挙動が詳細解析され,反応機構に関する見通しも得ることができた。当該反応機構は,別途実施した量子化学計算からも支持され,理論的にも支持された。加えて,電解着火に限らず自着火機構や熱着火機構に関する検討も開始しており,高エネルギー物質の着火学理構築に向けて多角的にアプローチした。 2020年度は電解着火を実験的に観測することができたが,着火制御の観点にたつと,着火遅れ時間(電圧印加から着火に至るまでの猶予時間)が,実用において求められる遅れ時間と比較して長すぎることや,電極劣化の問題など,取り組むべき課題も多くあることがわかった。これら課題は,2021年度以降の研究において,着火条件および混合組成の最適化を検討することで,一つずつ解決されていくものと考えている。 得られた研究成果は速やかに英文論文化し,国際学術誌に投稿した。投稿論文については関連学術雑誌より2報が既に公開されている。上記の通り,EILsの電解着火可能性が実験的に示されたこと,加えて,その成果報告もタイムリーに行われている点から順調に進捗したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は電解着火を実験的に観測することができたが,実装に向けて取り組むべき課題も多く抽出された。まずは最適な電解着火条件の探索を行う。電極部材や電極間距離,雰囲気圧力,印加電圧,スラスタノズル形状など,電解着火に影響を与える様々な環境変数について,この影響度を評価し最適化させることを試みる。また電解着火に適したEIL組成の探索も継続する。既に理論計算を中心に着火に適した物質の探索スキームを構築しており,今後は物質の調達性や安全性の観点を考慮しつつ実験的評価による探索を進める。電解着火機構の理論的解析も進める。これまで構築してきた液相反応に関する詳細反応モデル化手法を活用して電解反応シミュレーションを実施し,電解着火に関する反応論的理解を深める。検討の重点は電解着火に置かれるが,自着火や熱着火,レーザー着火に関する調査・検討は継続するものとする。
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Research Products
(2 results)